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母性のcinemageekのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.7
母性

原作/湊かなえ
 告白(10)  主演:松たか子)
 白ゆき姫殺人事件(14)  主演:井上真央)
 少女(16) 主演:本田翼・山本美月


監督/廣木 隆一(ひろき りゅういち)
 ストロボ・エッジ(15)
 ナミヤ雑感店の奇蹟(17)
 ママレード・ボーイ(18)
 ノイズ(22)
 月の満ち欠け(12月2日予定)

出演/
戸田恵梨香
永野芽郁
高畑 淳子(たかはた あつこ)
三浦 誠己(みうら まさき)
山下リオ


ポイント1
母の愛が呪縛となる女性と
母の愛を正面から見つめる女性の物語

主演の2人はそれぞれに母親からの愛情によって
人格形成がされている
それは呪縛ともいうほどの強さで、それぞれのキャラクターを色づけている

戸田恵梨香演じる母の お嬢様ゆえの刷り込みとも言える献身
永野芽郁演じる私の 母を救いたい、助けたい 見え隠れする 母のようになりたくない反発

それらを見事に演じきっている

戸田恵梨香の母を思いやるがあまりの娘への、怖いほどのプレッシャーを与える目の怒りの演技は素晴らしかった



ポイント2
強烈すぎる
高畑淳子のやらしさあふれる演技

高畑淳子の姑のいやらしさの境地とも言えるキャラクター
この人 一人の演技ですべての怖さを持っていく
助演女優賞は間違いなしか?

大地真央の実の母親の優しさ、おおらかさがあるからこその対比がすばらしかった 



ポイント3
母になるということ
娘であること
そして女性であることを問う1本

最後の方に出てくるのだが、
母か娘か……というのに、出演時間は短いものの
もう一人の存在として、女性であること 持ち続けているキャラクターが出てくる

この3つの要素を改めて意識してみると面白さがます



番外編
山下リオ出演
山下リオが 私 の叔母 父の妹役で出演
それほど多くはないが、しっかりとした印象を残してくれるし、
ラスト前にしっかりとその後……をみせてくれるときの笑顔がとてもいい




職員室での教員同士の会話のネタは
自殺した学生とその発見者の母のこと

その話の流れで、私は 自身の母親とのこと。父のこと。祖母とのことを思い出すのだった……

そして母も、自身のこと、大切に育ててくれた母のことを思い出す。

その 私 と 母の思い出の中は、それぞれのズレが生じているのだった。



おそらく小説だと、キャラクターそのものの外見や声がないのでミステリーとしての完成度の高さはあるのかもしれないが、永野芽郁が娘、戸田恵梨香が母親 という見た目の構図が明確である以上、原作にあるミステリー感は弱まっているとは思う

生活スタイルが変わり、いびられるようになっても母親の教えをロボットのように忠実に守る母親とそれに反発する娘

父親は異常なまでの反応を示す実母と家族と距離をおいて、過去にすがって生きている

そんな大人たちを見て、自分の価値と存在を見つめ直す私

それぞれのポジションでの 
愛情とはなにか?
母親の存在とは何か?
を問いかけるような物語ではあるが、それに特化するのではないゆえの、シナリオの共感性は低くなっている



ネタバレになるが
この映画での唯一の爽快的な決着は、叔母のリツコ(山下リオ)。
逆にエンターテイメント性はそこしか無かったりする


ただ、ああいった
嫁いだ先のいびられつつも献身的な女性って昔はいたし見たものです
そして 高畑淳子演じる 姑みたいな 婆さんもいた

現代で置き換えると完全に クレイジーというか、異常性なんだけど
なんか ノスタルジー的なものを感じたのも事実


いずれにしても
エンターテイメント性はあまりないが、
戸田恵梨香
永野芽郁
高畑淳子
らの演技の凄さを感じる映画


告白のときのような インパクトは無かったかな_?
https://www.youtube.com/watch?v=SgKBx93MIDY
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