母性のみずいろのネタバレレビュー・内容・結末

湊かなえ作品にしては、あっさり観れた作品でした。

ただの母と娘の話かと思いきや祖母と母(母と娘)から始まるとは。それがまた現実的で人の愚かさと血筋というか血縁というしがらみを感じさせて良かった。

きっと人間の本質にある｢認めて欲しい｣｢褒められたい｣という思い。そして母と娘という同性ならではの複雑さ。
母との確執がある人ほど刺さる作品なのではないでしょうか。

よく聞く｢無償の愛｣ではなく｢愛能う限り｣で母性を描くというところはさすが女性作家さんだなと思いました。
必ずしも子供を無償で愛せる訳でもなく、必ずしも愛を貰えるわけでも無いという現実を見せつけられ苦しくなった。

鑑賞するまでは戸田恵梨香さんでは母親に見えないのではないだろうか。と思っていましたが、その母親に見えないというところが大事なキャスティングでしたね。
ただ、どうしても戸田恵梨香さんは気の強さが頭にチラついてしまって、いつ言い返すのか、ブチ切れるのか。と期待してしまいそこだけはハマれませんでした笑
なので娘を演じた永野芽郁さんの、ハキハキ言いつつも愛されたいという感じがとても似合っていてスッキリ見れてよかった。

自分がこう生きてきていたら子供を産む選択肢は絶対にないので、最後の娘の選択と台詞にはぞわぞわしました。

母と娘で食い違う記憶。
人の記憶なんてそんなものなんですよね。
果たしてなにが真実なのか。
でも真実なんてどうでもいいのかもしれないですね。真実がどうであれ自分が世に生み出したのであれば愛して欲しいし愛されて欲しい。


田所家の母と息子がなぜあの関係性になったのか、なぜ娘に執着していたのかが気になったので原作を読みたいと思う。