向日葵

母性の向日葵のレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.5
人間は愛が足りない状態が続くと死んでしまう。補う事が出来ないと死んでしまう。真理である。事実、医療が発展していない数十年前はオキシトシンの分泌の関係で弱体気質となり早死する子どもが多かった。しかし現在は医療の発展により「愛着障害」という言葉が生まれ、抱えたまま子孫を繁栄することが可能となった。だからこそ何かに執着し、依存し、愛があると信じ込む。という自分にすら気付かずに。


母と娘、2視点から描かれる。
お互いの都合良く。

捩れた愛の連鎖が息苦しい。
息苦しくてたまらない。

そんな大人たちは無条件に子どもを巻き込み苦しめる。
それでも生き残るのは、よじれた愛だけ。

ハッピーエンドみたいになってるけど、こういう問題に終わりはなくて、軽視されがちな少しでもよじれた親子愛は死を招くという誰にでも本当は身近にある苦しみの連鎖が存在していることを知るきっかけにするくらいでの鑑賞をおすすめする。


原作ではこのひとつの文章で幕を閉じる。

"古い屋敷の離れに灯りがともっている。ドアの向こうにわたしを待つ母がいる。こんなに幸せなことはない。"

小さな呪いの言葉の積み重ねだ。
向日葵

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