猫エッグ

母性の猫エッグのネタバレレビュー・内容・結末

母性(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

家族は、壊れるのを耐えながら次の世代に続いていくのかな、と考えさせられた映画。

前半は、おばあさまや母親(ルミ子)がまるで人形のように感じられたり、父親が育児に関わらなさすぎて、これは人間模様を描いた作品なのだろうか?と疑問に思ったものの、ラスト30分で「娘を助けるためにおばあさまが死んだ」の本当の意味が明かされて、涙が止まらなかった。本当に衝撃・・・。

昔読んだ、信田さよ子さんの『それでも、家族は続く』を思い出した。家庭は、崩壊寸前だからつらいのであって、崩壊してしまえば楽だったのかもしれない、と当時の自分も思っていた。
「美しい家庭」というのは幻想だということが、歳を重ねるにつれて分かってくる。自分の家庭だけでなく、どの家庭も壊れかけながら続いてきたのかもしれない。けれども、そうやってでも代々受け継がれていく命があるのだなと思うと、壊れかけの家庭でも全否定はできないなと思う。
「私たちの命を、未来に繋げてくれてありがとう」というルミ子の言葉には、そういう意味が込められていたんだろうか?(ルミ子の言い方はかなり不気味だったから、よく分からない・・・笑)

追記:
やっぱり、ラスト30分に知る衝撃の事実で「これぞ湊かなえ・・・!」と思ったので、3.2→3.5に評価を上げました。
(以下、かなりネタバレあり)
その事実というのは、おばあさま(ルミ子の母)は火事で亡くなったのではなくて、火事に巻き込まれながら自ら頸動脈を刺して自殺したというもの。これは、ただ事故じゃなくて自殺だったんだというのには留まらないと思っていて、というのも、ルミ子の母が自ら命を絶つことなくして、ルミ子は娘には目もくれなかったいうことだから、そのことが私にとってはすごく衝撃だし悲しかった。ルミ子は、お母さんを自ら諦めたのではなく、お母さんによって「諦めさせられた」。
もし、私が清佳の立場だったなら、「それほどまでに目を向けられなかった自分は何者なんだろう」と愕然としてしまうし、自分からは諦められないくらい注がれていたおばあさまへの愛を奪ってしまって「本当にごめんなさい」と自分を責めずにはいられないと思う。
これを描けるのは、やっぱりイヤミスの女王だなと思ったりしました。
猫エッグ

猫エッグ