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母性のhirobeyのネタバレレビュー・内容・結末

母性(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

戸田恵梨香と永野芽郁のハコヅメコンビが母娘で共演するミステリー作品。

ジャケットの2人の写真がキーだった。

母性という言葉は、一般に子を思う母の無償の愛を指すと理解していたが、鑑賞後はなかなか奥が深いような印象を受けた。

溺愛とも取れる母の愛をたっぷりと受けて育ったルミ子が、子に対しては愛情を注げない屈折した母になってしまう。そんな母に育てられた清佳は、必死に母からの愛を受けようとするが、大人の顔色を窺う遊び心の無いタイプに育ってしまう。さて、その清佳がどんな母になるのかというラスト。屈折した愛情の伝播となるのか?

ルミ子の母の死のシーン(蝋燭で火事とか、自殺とか)は、流石に小説的ではあるが、親の愛情を受ける(受けない)という点では、実際にいろいろな形があり表面に現れない部分を持っている人も多い気がする。そして、それが性格を形成するということはあるでしょう。子育てとか愛情はこれが正しいというものがあるかもしれないが、そう出来ない、出来なかったというパターンは幾らでもあるだろうなぁと思う。また、親の愛を子がどこまで感じているかなんて全く分からない。そういう意味では、親の愛は一方的とも言えるのかも。

終始、感情を抑えた演技の戸田恵梨香が、可哀想でもあり、不気味でもあったのは流石だ。永野芽郁も、いつもの明るい芽郁ちゃんではないが、この役は彼女らしくもあった。そして、高畑さんの農家の母の強さったら半端ない。流石、怪演女優といったところ。

ルミ子の夫が、あまりに実家で影が薄いのは気になった。母が強いのは仕方ないとして、もう少し妻と娘を守らないとなぁと。

エンドロールで原作が湊かなえと知った。どおりでこの何とも憂鬱な感じな作品だと納得。
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