母性とは母親が持つ本能的な性質であり、とても素晴らしいものである反面、危険な一面もある。本作は母性をテーマに歪んだ母娘の姿や様々な母性像が描かれている。
母から無償の愛を受け続けたルミ子は非常に仲睦まじく理想的な母娘に見えるが、母親に全てを委ねるルミ子の姿に違和感を覚える。そしてその娘サヤカはルミ子が母の愛を受け続ける為の道具のようにしか扱われておらず、そこに母性や愛はない。
本作ではルミ子とサヤカそれぞれの視点から物語が語られるが、内容に所々異なる点がありどちらが正解かはわからない。しかしきっと各々の中ではそれが真実で正解なのだろう。母性によってこうも歪むのかと思いながら、ラストシーンで語られたサヤカの子供について、真っ当な母娘になってほしいと願うばかりである。
