とむ

MAHOROBAのとむのレビュー・感想・評価

MAHOROBA(2021年製作の映画)
4.0
エンターテインメントでもあり、
アウトサイダーアートでもあり。
純真無垢でもあり、
手垢に塗れたサンプリングでもあり。
技巧的でもあり、
素人的でもあり。

さまざまな二律背反を13分に詰め込んだアニメーション。

「こんなアニメ、見たことない。」
そんな感想を抱くのも当然で、監督はアニメを作るのは今作が初めてだったらしい。
一度でも手書きアニメを作ったことのある人ならわかると思うケド、
全くの未経験で13分のアニメーションを作るのは、ぶっちゃけ正気の沙汰じゃない。

でもアニメーションにおける様々な「お約束」や「セオリー」を知らないからこそできることもあり、今作は明らかにそれによってスクラップ&ビルドされた作品だ。


明らかにいろんな映画やアニメ作品の引用が多量に見られるんだけど、
「俺、映画好きなん、わかるっしょ?わかんないか。笑」的な拗らせたシネフィルならではないや〜〜〜んな感じは一切なく、そこには一種の可愛らしささえ見えてくる。
監督の前作「バニラ(非公開)」にも通じる、子憎たらしいのに憎めない感じ。
それって多分、監督の人間性を如実に表してるんじゃないかと思ってる。


ここまで自由に(というか好き勝手に?)作品を作れてる監督って、あんまりいないんじゃないかなぁ。
去年までは居たんですけどね、亡くなっちゃったから…。

そのうち商業に行くんだろうけど、どうかありがちな「自主制作上がりのカントク」にはならないで欲しい。
とむ

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