MasahideYoshida

大河への道のMasahideYoshidaのレビュー・感想・評価

大河への道(2022年製作の映画)
3.0
2022年公開
監督 : 中西健二
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町おこしに悩む千葉県香取市が、地元のヒーローである伊能忠敬で大河ドラマを誘致するべき奔走するお話。

大義のある嘘もあっていいんだぜっていう物語。嘘というか、ホラというか。大河招致するとか、大御所脚本家に仕事を依頼するとか、世の中には少しの勇気とホラで動く山ってあって。伊能忠敬亡き後に、生きてることにして測量を続けた遺された者たちも、そんな思いだったのだと感じます。ホラを吹いている最中のその人の立たされている足場って、とても不安定でグラグラしてしかも嘘をついているという自責もあるのだから、余程の大義がないとその状態に耐えられないのだけど、逆にいえば、大義を成すためには目先の不安定さを受け止めないとならぬということかもしれない。

もとより、大河ドラマという存在そのものも、史実とホラの合わせ技な訳で。人はホラという、現実を少しはみ出した認知によってやっぱり世界を作っているなと感じる映画。中井貴一はやっぱり、翻弄されるおじさんの役が似合う。