夜ノ砂

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。の夜ノ砂のレビュー・感想・評価

3.5
童話の世界で童話のキャラが矛盾に気が付いていき謎を解き明かそうとするストーリーは、細かいことを気にしてはいけないはずのファンタジーの中に論理が入り込み、誰もが知っている設定故に意表を突かれるというなかなかひねくれた展開になんとも不思議な感じを覚える。
その舞台である昔のヨーロッパっぽい森や民家、王様のいる城などをロケやセット、CGなどで映像的に再現しており、このあたりの童話完コピぶりは、福田監督の画のこだわりがすごく生かされている。
なぜか遺体がすぐに発見されたり、魔法が解けた姿でも「赤ずきん先生」と呼び止められたりするなどのツッコミどころはあるにはあるが、観終わるときっちり伏線を回収したミステリドラマだったなと断言できる。

一方でもう少し「昔話」と「今どき作品」の化学反応にぶん殴られてみたかった。「ちょっと変わった」というタグ付けでありながらそつなくまとまっているというか突き抜けが意外とない。
おとぎ話のマッシュアップ故、前半1時間は文化祭の芝居(ただしプロの演技)をわざわざ観せられている感じがどうしても拭えない。

それから赤ずきん役・橋本環奈の“役馴染み度”があともう一歩。シンデレラ役・新木優子を始め周りの役者に食われ気味。悪くはないけどキャラが薄い。ナチュラルなだけで役の個性という味が染み出てない。辛辣な返しで受けを狙う場面では、赤ずきんというより「橋本環奈」が見え隠れしてしまっていて残念。
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