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赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。のLCのレビュー・感想・評価

3.3
面白かった。

赤ずきんがシンデレラの世界で探偵する物語だったのだけれど、軽くポンポンと進む会話や、事件の真相に絡む重さの比重がとても見やすい。

冒頭から魔法使いに笑わせられた。
木々に囲まれた緑深い場所で、大きな杖を片手に走ってる。あ、魔法で止めないんだ、相手を浮かせるとかしない感じ。
見続けると、あ、気合い入れて呪文唱えないと魔法発動しないからか、と納得したりする。それもそれで面白い。気持ちが伴わないとダメなんだろうな、たぶん。集中することが必要なんだ、たぶん。
でもその後に他の魔法使いが呪文の詠唱なくスルッと魔法を使ったりして、また面白くなっちゃう。2人の女性を美しく変身させているし、黒い魔法使いさんも十分すごいよ。それにしたって、サラッと魔法使いとしての能力の差を描かれるとは。いや本当、すごいんだよ、靴は確かにちょっと難しいもんねえ。知らんけど。

謎自体に関してはともかく、赤ずきんが謎を解く最終場面で「ねえ、あなたはなぜ…」と、お馴染みの構文で問いかけるところが好き。
変装していた狼の腹を掻っ捌くんだね、そう直感的に理解できて痺れた。ただ、狼も大きな口を開けるぞ。
関係者やそれぞれの状況が結構入り乱れたりもするのだけれど、それ程複雑に感じないのは、丁寧に各々のキャラクターの各々の物語を見せてくれるからかなあという気もする。よく見える分、検討も付きやすい。それは結末の持つ意外性の低さに繋がるかもしれないけれど。

見目の美しさが最重要とされる国ということだったけれど、服装や髪の状態によらずみんな綺麗だったので、何となく「綺麗な人だけが生まれるのだけれど、少しの誤差で優劣つけられてる」ようにも見えた。
私は醜い、という自認や台詞の空虚さ、というか。でもこれは、ちょっといちゃもんぽいかもしれない。
誰だって傷ついたり汚れたりすれば見目的には醜くなれるし、磨いたり清潔を意識すれば綺麗になれる。そして、磨くことも清潔にすることも困難で、他者に醜い者として扱われれば、そういう自認になる理屈も理解できるから。

王様の杖がとても好き。良く特徴捉えてるなあと思う。
ネズミさんは鼻呼吸できないんだなあ、それはネズミの鼻を付けているから、ということじゃないんだろう。きっとそうだ。そうに違いない。
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