CANACO

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズのCANACOのレビュー・感想・評価

4.1
今も『シャーロック・ホームズ』以外は全て脚本も手掛けるガイ・リッチー監督初の長編群像劇。

20代前半で観たときはよくわからないまま終わってしまった作品。あらためて観たらすごく良い。受け取り方が変わるから映画は何度も観たほうがいいなとあらためて実感。

盗品販売しているトム、ベーコン、ギャンブルで稼いでいるエディ、普通にコックとして働いている“真人間”ソープの4人が、一攫千金を狙ったところ逆にギャングに巻き上げられ、1週間以内の返済の約束をさせられるとともにエディの父親のバーを抵当に入れさせられるトホホ展開に。
そこから始まる“麻薬の売り上げ金強奪プラン”と“(古くて重い)骨董品の銃2丁”の行方を見守る物語。

銃を構成する三つのパート、ロック(安全装置)、ストック(弾倉)、バレル(銃身)を指す「Lock, stock, and barrel」が“全て”や“一切合切”という意味をもつらしい。smokingは“銃から出る煙”で、twoは“2丁”。タイトルからして洒落が利いてる。

複数グループの思惑が交錯し、目当てのブツがあっち行ったりこっち行ったりするのが楽しい犯罪コメディ。ガイ・リッチーのカッコいい映像編集テク炸裂で、札束とかカードとか片手で放り投げるシーンなんて何十回でも繰り返し見たくなるほどクール。こりゃ売れるわ、マドンナも惚れるわという仕上がり。

ジェイソン・ステイサム 、ヴィニー・ジョーンズ、アラン・フォードと『スナッチ』にも出演しているメンバーもいて楽しい。北野武映画っぽい。
若いチンピラグループ、間抜けグループ、マジモンの反社グループと人物構成(キャラ)は『スナッチ』と共通している。ヴィニー・ジョーンズ演じる借金の取り立て屋が、車のドアでガンガン人を痛めつけるシーンを『スナッチ』で被せてきたりとか、全員何かしらドジな一面があったりと、笑いのセンスもどことなく武っぽい。

今は新境地を開いたガイ・リッチーだが、本作と『スナッチ』が面白く完成度が高すぎるので、このパターンでまたやってくれてもいいけどねとすら思ってしまう。

エディの父親役をミュージシャンのスティングが演じているが、異常に格好いいのも見どころ。
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