真っ黒こげ太郎

キャッスル・フォールの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

キャッスル・フォール(2021年製作の映画)
4.0
爆発まで90分!殺られる前に奪え!!

大金を手に入れ生き残るのは誰だ!?


一番大金が必要なのは今作の制作陣では…w




妻に先立たれ、癌闘病中の娘の治療費の工面に悩んでいたドルフさんことエリクソン。
連邦刑務所の看守長として働いていたエリクソンは、黒人ギャングのランドが盗んだお金の隠し場所を教えてもらい、その見返りにランドを別の棟に移す。
だが、金を盗まれた白人ギャング団達が盗まれたお金を取り戻すために行動を開始する。

一方、元格闘家だったが怪我が原因で干されてしまい、日払い労働者に落ちぶれていたアドキンスさんことマイクは廃病院の解体業に勤しんでいた。
が、爆破当日の勤務最終日に偶然にも、そのビルの中に隠されていた300万ドルの大金を発見!!
皆が出た後で大急ぎで大金をゲットし歓喜するが、そこでエリクソンとギャング団が鉢合わせし、三つ巴の戦いがおっ始まる!!!

ビルの爆破まで90分。果たして大金は誰の手に!?



爆破寸前のビルに隠された大金を巡って、訳アリ連中やギャング団が大乱闘を繰り広げる、格闘アクション。
アクションスターとして知られるスコット・アドキンスさんとドルフ・ラングレンさんがW共演しており、ドルフさんは自身の製作会社で、監督・製作も兼ねてます。
今回のスコアドさん過去作予習はGEO先行&久々のドルフさん監督作です。


話としては単純で「アドキンスさんとドルフさんとギャング団が大金を巡って大騒ぎ!」という感じ。まぁ解りやすくてよろしい。w

だがぶっちゃけた話、作品としてはかなりの低予算で、ショボい。
舞台はボロい廃ビルの中、主演2人に対して敵側人数は5~6人程度と少ないし、本作唯一の爆破シーンであるビルの爆破も安ーいCG丸出しというしょっぱさ。
余りに画面が安すぎて「(誰か予算を)かけてやってくれ…」と言いたくなる。w

内容も前半45分をフル活用して主人公の身の丈話をじっくり書いているので地味で新鮮味も皆無だし、アドキンスさんとドルフさんが絡むのも残り30分を切ってからと遅め。
(アドキンスさんの殴り合いは冒頭にあるのですが)
主役側のお金の動機も「干されて無一文に…」とか「娘が癌で…」とかいうありきたりな話だし。w


まぁ、ぶっちゃけこじんまりとしたB~C級アクションには違いないですね。
とは言え、正直安い映画なのは予告編で覚悟出来ていたからか、安いなりに楽しめました。


前半はベタ~で地味~なドラマ展開がメインですが、主演2人の身の丈話
を活かしたドラマ展開は悪くない。

アドキンスさんの役は「旬を過ぎた格闘家」というキャラで、ある意味アクション俳優の今の冷遇時期を感じざるを得ない。
(まぁ今では「エクスペンダブルズ」や「ジョン・ウィック」等、アクション俳優を活用した大作シリーズもあるが)
が、自身の事を知っていた男と友人になり、彼がギャングに襲われ命を奪われたのをきっかけにギャング団に戦いを挑む決意を固める。

ドルフさんの役は娘が癌で闘病しているというのも、ドルフさんが実際に過去8年間癌の闘病を続けていたニュースを知った今では興味深い。
現在では快方に向かっているとの事ですが、どうか身体を労わって欲しい物です。

騒動が始まった頃は主演2人はお互いに警戒してドカスカ殴り合うのだが、お互いの身の上を知ってからは協力することになる。
2人のドラマもしつこくなく程よい塩梅なので、クライマックスでのベタな協力展開もスムーズに乗れました。


後半に纏まっているアクションは蹴って殴って投げて撃って…って感じでベタですが、ファイトコレオグラファー(戦闘シーンの振付け師)はティム・マン氏が務めているみたいで、2人ともしっかり動けてます。
アドキンスさんは言わずもがなな感じでキチンと回し蹴りの出番もあるし、ドルフさんは流石に60代&病み上がりなので目劣りはしますが、ちゃんと力強く激しいファイトシーンを身体を張って演じてくれます。

ドルフさんもアドキンスさんの方がちゃんと動けるのを理解してか、自分はアクションの引き立て役に徹してアドキンスさんの見せ場をガッツリ描くという潔い作り。
(因みに製作にはアドキンスさんも参加した模様、やはり、それぞれの見せ方を心得てるのでしょう。)


強いてアクション方面の難点としては、敵側がそんなに強くなさそうなので(爆)「頑張ればもっと楽に倒せるやろ」と思ってしまうのが少し残念。
敵側も「銃持ってたからそれなりに渡り合えた」感じなので、敵側にもっと動ける人を配置して欲しかったですね。
(タイマンの時のラスボスはそこそこに動けてますが。)


正直予算は無いに等しいし、全体的に予算相応のこじんまりした出来なのは否めないが、安いなりに主演2人のアクションの見せ場は抑えてるし、ドラマに関してもありがちではありますが割とちゃんと描けてるので、割と面白く見れました。

まぁ、スコアドさんやドルフさんのファンなら少なくとも暇つぶしにはなると思われます。
100円レンタルで平日の夜にダラーっ見たり、午後ローで家事しながらダラーっと見る分には悪くないんじゃないかな。