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金の糸のslowのレビュー・感想・評価

金の糸(2019年製作の映画)
4.4
『みかんの丘』や『やさしい嘘』が好きだったのは、単純に物語の良さだけではなく、ジョージアが歩まされた歴史と、それに翻弄されながらも乗り越えて来た人々の持つ不思議な温度に惹かれたからだろう。人生の欠片を繋ぎ合わせながら、自然体で生きるエレネの姿にも、やはり感じ入るものがあった。登場人物の中では少し意地悪に見える役どころのミランダ。彼女に『親愛なる同志たちへ』という作品で描かれていた女性の人生を重ねて観ると(時代など全く重なるというわけではないけれど)、この物語についてより考えを巡らせることができた。撮影も奥行きを上手く使ったり(あの住人たちを見渡すアングルいいな)、幻想を出現させてみたりと(そのあたりアンゲロプロスぽくて好み)、地味ながらに心地良く、これもまた、わたしの心には響く作品でした。
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