うえびん

金の糸のうえびんのレビュー・感想・評価

金の糸(2019年製作の映画)
3.8
過去→現在→未来
未来→現在→過去
過去の超え方

2019年 ジョージア/フランス作品

かつて「グルジア」と呼ばれた国
ジョージア

「グルジア」はロシア語
「ジョージア」は英語

帝政ロシアからソ連まで
長くロシアに支配されてきた歴史
根深い反ロシア感情

ジョージアの首都トビリシ
旧市街の古い石畳から一歩中に入った
中庭を囲んだ古い木造の集合住宅

窓やベランダから見える景色
日常の生活の中に見える
住民たちの親密な関係性が微笑ましい

作家のエレネ
娘婿の母・ミランダ
エレネの元恋人・アルチル

徐々に浮かび上がる三人の過去

財産でも重荷でもある過去

同じ民族としての文化・民族性
陽気な悲劇性
喜びの才能
こちらは財産か

違う政治的な思想による対立
こちらは重荷か

1991年ソ連崩壊
ジョージアの独立

その後も続くロシアとの対立
2008年の戦争 ロシア側の一方的勝利
現在もロシアの実質的支配を受ける
約2割のジョージア領土

生きたいなら過去に囚われてはいけない
過去を破壊してもいけない

過去を超える

金継ぎのように
金の糸で過去をつなぎ合わせれば
時間も空間も超えられる

91歳のラナ・ゴゴべリゼ監督
ご自身の人生と生きた国
リアルな過去を投影して描かれる物語

美しく静か
かつ強い説得力をもっている
うえびん

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