ジョージア🇬🇪の伝説的な女性監督ラナ・ゴゴベリゼが91歳で日本の"金継ぎ"に着想を得た過去と和解の物語。
「金継ぎとは日本人が考え出した方法で、3千年前の器を金で継なぎ合わせるの、綺麗でしょう」と孫に教えている老婆は作家のエレネ。孫にも同じ名前が付いている。
エレネはその日79歳の誕生日だった。古い長屋のようなアパートで娘夫婦と暮らしているが、家族から誕生日を忘れられていた。
そこに、娘が姑ミランダにアルツハイマーの症状が出たので一緒に暮らすと連れてくる。ミランダはソ連時代の政府の高官だった。
かつての恋人アルチルから「誕生日おめでとう...」の電話がかかってくる。
3人は過去に絡み合うことがあったのだ...
金の糸で過去を繋ぎ合わせるように、過去の痛ましい歴史も人間関係も繋がれば美しいもの、財産にならないか?という高齢の監督の大きな優しさが伝わった。
過去のソ連時代のグルジアの映画は何作か観て来たが、日本人が感じ得ない複雑さがあると思う。
エレネ役は監督でもあるナナ・ジョルジャゼ。落ち着き度合いが堂に入っている。
ミランダ役は高齢でも美しいグランダ・ガブニア。作品の完成を待たずに亡くなり、この作品が遺作となった、残念です🙏
アルチル役は車椅子から電話をするだけ。しかし、表情で語る。
老人の中に子供、若者、今を生きる人たち、今の首都トビシリの街が映る。時代の流れ移り変わりを感じられた。
一度では難しいと感じたけど、また時を置いてもう一度観てみたい、そんな作品だった。