This is madness!
C-3POならそう叫ぶに違いない。
ストップモーションアニメーターであり特殊効果アーティストのフィル・ティペットが、ハリウッド大作の仕事の傍ら、30年間溜め続けた脳内イマジネーションを爆発させ完成させた狂気の作品がスクリーンにお目見え。
SWもジュラシックパークもフィル・ティペットの仕事抜きでは存在し得ない。しかしこのマッドゴッドではメジャー作品で見せてくれたワクワクドキドキの世界とはまったく違う地獄巡りの物語であり、果ての無い底なしのパノラマ世界がストップモーション(一部実写混じり)で出現する。
正確にはゴーモーションというそうですが、1コマ1コマ動きを止めて撮影するストップモーションに対し、対象物を動かした状態で1コマ1コマ撮影するという手法のようで、ストップモーションでは避けられないカクついた動きがモーションブラーが発生することによって滑らかになり、よりリアルな映像が創り出せるのだそうです(詳しい情報があまりなくて正直カラクリがよくわからない)。
何処からか墜落して不時着した男が、
地図を頼りに地下世界へと潜っていく。
グロテスクな怪物が跋扈する闇の世界で、
糞尿を捏ね上げて成形された泥人形が次々とパンのように焼き上げられ、命を吹き込まれ、意味もなく命を刈り取られる。
何のために生まれて何のために死ぬのか。
命に意味があるのか。
腹の中から内臓とともに次々と金銀財宝や本やらガラクタが飛び出してくるという、楳図かずおのような表現もさることながら、時計の秒針が刻む音が、ツィイ〜ン、ツィイ〜ン、ツィイ〜ン、、みたいな奇妙さで脳裏に焼き付く。
狂った世界を狂ってみせるために、
狂った熱量で狂った時間を要したこの作品の創造主フィル・ティペットこそがマッドゴッド。