TaiRa

マッドゴッドのTaiRaのレビュー・感想・評価

マッドゴッド(2021年製作の映画)
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フィル・ティペット渾身の地獄絵図で目が楽しい。

公式の対談でティペットが「同じ卵から生まれた」と評した堀貴秀の『JUNK HEAD』と共鳴するとこが多くて驚く。ストップモーションアニメ作家が個人で映画作るとここに行き着くのか。両作で一番違うのは笑いの部分かも。今作の笑いはやっぱアヴァンギャルド寄りでデタラメ。本気でMAD GOD=キチガミ様の創り給うた世界を表現してて凄いし、どんだけ労力が掛かってんだか。ヒエロニムス・ボスの世界が人形アニメになった感じ。次から次へと流れて来る怪映像に頭が持っていかれて、この映画に物語があったのかどうかもよく分かんなくなる。地獄の底へのテロとかが軸なんだけど途中からもう関係なくなるしね。最終的には世界作り工程という『のび太の創世日記』みたいなとこに行くけど。ティペットの好きな映画のオマージュも衒いなくブチ込んでてそれがギャグになってる。『サイコ』とかキューブリックとか。ラストのナンセンスな突き放し方はマルクス兄弟の影響らしい。一番良い場面はやっぱ電気椅子糞尿製造人間と糞尿グビグビ漏斗人間あたりの流れかな。そこから作られる糞人間たちの強制労働と事故死のオンパレードも子供の悪趣味な人形遊びの延長に感じて感動した。地獄に堕ちると大変だからちゃんと生きましょう。
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