マーティンルイス

マッドゴッドのマーティンルイスのレビュー・感想・評価

マッドゴッド(2021年製作の映画)
4.6
悲惨で永い悪夢の末に、生命の神秘•世界の美しさすら感じさせる”怪作”

崩壊するバベルの塔
欲に塗れた支配者
ゴミのように扱われる労働者
拷問を受け続ける弱者
糞だらけの人間社会
戦争が止まない世界
頭の中から体の奥底まで漁る医者
怯えながらも後悔に溢れる看護師
動物を弄ぶ者
地獄の末に解剖される主人公
以上のような、刺激的な登場人物に脳が満たされる。

全編において、様々なクリーチャーをCGなしで撮影し、この世の闇をリアルに描写した内容へ感服。また、その随所に感じられる社会表現や、フィル•ティペットの価値観に鳥肌が立つ。
そして、こんな地獄を描いた作品の幅広いメッセージに処理が追い付かない….!苦痛と臓物だらけの解剖シーンで、富•知識•未来への羨望が溢れ出る様子は強烈であり、深い余韻が残った。それから、生命の終末の中に宇宙の始まりから終わりを描いたラスト!このシーンは、理解や共感なんかを超越した感動に圧倒される。

今作を完成させた監督の執念が、幸福や闇を孕む世界へのエールになる至高の映画。
マーティンルイス

マーティンルイス