へちまびと

グレイマンのへちまびとのレビュー・感想・評価

グレイマン(2022年製作の映画)
4.6
元犯罪者をCIAが訓練して殺人マシンに仕立て上げ、CIA本体が対応できない「グレー」な任務に送り込むというシエラプログラム。
その6人目として我らがライアン・ゴズリングが選ばれるというところから物語が始まる。

全然期待せずに適当に流し始めたら、そういうスタンスが申し訳なくなるくらいの名作だった。
新作として、ここまで痛快で新しさも感じつつ、しっかり王道を守るスタイルのアクション映画が見られるとは嬉しい驚きだ。

話は逸れるが、現代におけるアクション映画の製作は、30年前のそれと比べて遥かに難しくなっている。

まず、「表現の不文律」が明らかに厳しくなっている。
黒人を出すが、他よりひどい目に遭わせない。
人種的ヘイトを入れない。
女性も同様の扱いだが、守られる「ヒロイン」だけだと問題となるので、戦う強い女の表現が必要である、などなど……

これに加え、「マンネリを避けるため新しい表現を行う」挑戦も求められるし、いきなりそれと矛盾するようだが「みんなが見たい筋=王道のストーリー展開」も同時に満たさなければならない。

詳しい展開は読めないが、カタルシスとハッピーエンドはしっかり押さえて欲しい……という感じだ。なんとわがままな。

こんな難しい条件無理だよ!と投げ出しても仕方がないと思えるものだが、なんとこの映画は上記条件を全て満たしている。
しかもワクワクドキドキする展開で面白いのだ。

敵のロイドがエキセントリックで残虐で表情豊かという敵キャラクターとしてこれ以上ないくらい魅力的だし、シックスとの男同士の宿命の対決をしっかり描いているのもいい。

ネットフリックスがこの映画のTVCMをガンガン打ちたくなるのもわかる。おーいみんなー!面白い映画ができたよォ-!という気持ちであろう。わかる。

夜中の作業のお供に、適当に流して適当に止めて寝ようとか思ってたことを本当に申し訳なく思う。朝5時までしっかり見させて頂きました!ご馳走様です!