Kou

スランバーランドのKouのネタバレレビュー・内容・結末

スランバーランド(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

父親を亡くした少女が、無法者のフィリップとともに夢の世界でなんでも願いを叶えてくれるという真珠を探す話。
スランバーランドは、全ての人の夢が繋がった世界。潜在意識活性局が全ての人の夢を管理し、各個人に必要な夢を与えている。奥地にある悪魔の海には夢の世界で何でも願いを叶えてくれる伝説の真珠があるという。
主人公の少女は父親に会う為に、かつて父親の相棒だった夢の世界の無法者フィリップの力を借りて、伝説の真珠捜索の旅に向かう。

「愛する人の死に向き合う」というテーマを、不条理な現実から逃避しなんでも叶う可能性のある夢に願望を求めてしまう主人公とフィリップを通して描く。
死に対する無力感や悲しみに向き合う為に、夢は感情と体験を整理して、現実を再解釈しまた向き合う為の装置として働いている。
しかしなんでもありの夢空間に加え、個人の為に夢を見せる設定なので、主人公に都合が良すぎるとも。

フィリップは感情を見てみぬふりをして夢に大胆で自由で目立ちたがりな自分を抑え込む。
それが彼にとって現実に向き合う方法であり大人になるという事なのか。

現実を乗り越える為には恐怖心を見ないふりをするのではなく、ありのままの事実に立ち向かう勇気が必要。

テーマとストーリーラインは分かりやすいがありきたり?主人公にとって失敗した時の代償が弱く、感情移入もしづらかった。
長く夢の世界に留まると現実での自分自身を忘れてしまう。ことが現実で無力感を味わう主人公にとっては対して痛手に感じていない。外的動機の失敗に対する揺さぶりがもっと必要?

恐怖心の根源として迫る悪夢に捕まるとどうなるかの説明があれば緊迫感が出た。

悪夢から逃げる際にフィリップが少女を先に逃し、逃げ遅れるブタを戻って救うシーンでようやく株が上がるが少し遅い印象を受けた。
そこから2人の距離が急速に詰まる。
フィリップ=叔父さんの封じ込めた子供時代の願望。
夢の世界での冒険が現実に影響を与え、父親の死を乗り越え、残された2人の関係性が縮まるという構造。
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