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スランバーランドのLCのレビュー・感想・評価

スランバーランド(2022年製作の映画)
3.8
楽しかった。

タイトルでも使われている「 Slumber (スランバー)」という言葉は、Sleep と同じイメージを持つと考えて差し支えないだろう。つまり「 Slumberland 」は、睡眠(或いは不活動)状態、又はその特徴を持つ場所を指す言葉。一般的には「眠りの国」と訳される。
そう、本作は睡眠状態の時に行ける、その夢の世界で冒険する物語だ。

ぶたさんがかわいい。私にもニコッてしてほしい。あんまりかわいい笑顔なもんだから、ちょっとびっくりしちゃったぞ。電撃くらったかと思った。
同じくらい無法者もかわいい。怒られている時のくるくる変わる表情とてもかわいい。ワッフル好きなんだね、夢の中でだけかな、どうなんだろ。
そしてキノコ育ててた子もかわいい。夢の中では出会わないけれど、不器用に好きなことしたり、人と交流してたり、彼は何か、応援したくなる。

大好きな父を亡くした主人公が、夢の中で大好きな灯台(父娘で暮らしていた、安心できるあたたかい場所)へ行くと、そこには誰かが居て何かを探している。
「君のおやじさんとは良い相棒だった」とか言ってるけど、この人どっから来たのかな、そんなことよりお父さんに会いたいんですけど。
そんな感じ。
素直に楽しかった。

夢から夢へと移動する様が好きで、「この夢(A)ではここにその夢(B)へ繋がるドアがある」と決まっている、これがとても私の肌感覚に近くて一気に引き込まれた。
同じ景色の中を同じ手順で進む夢を繰り返し見るので、思い出しては少し参ったりした。良い夢ではない。
ちなみに、同じ景色のうちのひとつは、快晴の草原に建つ壁の白い小さな家。その家の中に、襖がある。襖を開けると、真っ赤な空と黒い雲と底なし沼がある。
何でかわからないけれど、常にこの景色にこのドアで、そのドアの向こうの景色もいつも同じ。
本作では襖は出てこなかった。扇子が出てきたから、もしかしたら出てくるかな、と思ったんだけれど、代わりに刑務所のゴツい錠が出てきた。面白い。
そして本作では夢の中で自由に飛べなかった。私が自由に飛べるものだから、その感覚で見ていると新鮮味もあった。夢の中とはいえ、飛べないとなると、そういう場面で怖さがあるね!

夢を取り戻した人が、日々を楽しそうに生きる終盤の描写がとても好き。
憧れの人は、死んで尚その人を見放さなかったんだ。受け継がれるものの尊さも垣間見る。
それじゃあ、夢の3番地の1つめの角を曲がったところで落ち合おう。友人と別れる時にこう言うのが習慣になっていた時期があるのだけれど、会えたことない。どこやねん3番地。でも楽しいからまたやろうかな、この挨拶。
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