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ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師のぴろぴろのレビュー・感想・評価

4.5

そこは女性にとって世界最悪の場所。
生後6ヶ月の赤ちゃんですらレイプされたと聞いて耳を疑った。
想像を絶する衝撃内容のドキュメンタリーだった。
タイトルの『ムクウェゲ』とは、5万人もの女性を救って来た婦人科医デニ・ムクウェゲの名前から。
コンゴ民主共和国東部ブガブで20年以上も無償で医療に従事し、2018年にノーベル平和賞を授与されたデニ・ムクウェゲを追ったドキュメンタリー。
これまでムクウェゲ医師は、性暴力被害に遭った6ヶ月から90代までの女性を治療して来たと言う。
中にはお腹を刺された妊婦が、お腹の中で胎児が死亡しそのまま腐ってしまい、死にそうになっている所を救われて10数回の手術を受けた者もいた。
出産で命を落とす女性が居なくなる様にと医師になったが運ばれて来る女性はレイプ被害患者ばかり。     性器や内臓までも破壊され、心身共に深い傷を負った女性たち。

レアメタルや錫といった豊富な鉱物資源を有するコンゴでは、武装勢力による利権争いが続く。
女性たちの悲劇の根源はここにあって、レイプは男の欲望を満たす為と言うよりも、武器を調達するよりお金がかからず徹底的に恐怖心を植え付けて言いなりにする為、支配する為の手段だという。 
中盤、以前武装勢力に所属していたという20代男性が登場する。  武装勢力に家族を殺され、目の前で母や姉がレイプされ自分は連行されて、いつの間にかドラッグを服用しながら、レイプする側に回っていたと。  

もはや生活には欠くことの出来ないパソコンやスマホ。   便利さを享受している私たちのスマホがコンゴ人の血で染まっているという言葉に胸が痛い。   直ぐに何が出来るわけではなくても、まずは知る事から。
恥ずかしながらムクウェゲ医師も、コンゴの実情も私は知らなかった。    何かが違ったなら豊富な資源を有するコンゴは、中東の産油国の様に富める国になれたかもしれないのに。
遠い国の今現在の現実を知れた事は良かった。

ナレーションは常盤貴子
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