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ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師のNのレビュー・感想・評価

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私たちの生活に欠かせないスマートフォンやノートパソコン、電気自動車などの電子機器の製造に使われているコバルトは、世界全体の産出量のうち68%を中央アフリカのコンゴ民主共和国が占めている。コンゴ民主共和国におけるコバルトなどのレアメタル採掘には、児童労働や紛争鉱物の問題があり、私たちの生活と切っては切り離せない。
コンゴには約130もの武装勢力がいて、その活動の資金源になっているのが希少金属の密輸である。武装勢力はコンゴ東部の鉱山地帯を制圧するために、住民に対する性暴力を行っている。ただ自身の欲求を満たすためだけではない。女性を傷つけ、家庭や地域社会を崩壊させ、恐怖によって支配地域の住民を屈服させるためである。

〈参考文献〉
原貫太(2021)『あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣』KADOKAWA
(第4章 世界最悪の紛争とスマートフォン)

〈参考動画〉
原貫太・フリーランス国際協力師“【削除覚悟】電気自動車「最大の闇」について話します
”.YouTube.<https://youtu.be/g0IH9pjMKzk?si=GxFXcFT-lHPa8V45>(参照日2024年1月22日).
原貫太・フリーランス国際協力師“コンゴで性暴力が横行する「知られざる理由」とは?
”.YouTube.<https://youtu.be/Cwq3lr_z9b8?si=SGDbzfPR6cI3clRx>(参照日2024年1月22日).


紛争鉱物に関する問題に対して、私たち一人ひとりができることは、電子機器を、長く、大切に使うことである。また、限られた資源を有効に使うために、不要になったスマホはリサイクルに出すなどの行動が求められている。自分は、認定NPO法人テラ・ルネッサンスに不要になったスマートフォンを送った。テラ・ルネッサンスが行っている「ケータイ for コンゴ」という取り組みでは、スマホのレアメタルの再利用はもちろん、スマホ1台につき30円がコンゴ民主共和国における元子ども兵や性暴力の被害にあった人々への支援に充てられる。


本作の内容で印象的だったのは、ムクウェゲ氏が広島平和記念資料館に訪れていたことである。そこでムクウェゲ氏は、次のような言葉を残した。
"この場所で私は完全なる恐怖を感じました
核兵器は廃絶されるべきです
人類をこのような恐怖から守らなくてはなりません"

次に、印象的だったムクウェゲ氏の言葉を引用させていただきたい。(本編43分あたり)
"コンゴと日本は実はとても深いつながりがあるのです
広島の原爆にコンゴのウランが使われていたのですから
そして現代ではコンゴの鉱物資源を日本人が使っています
全ては つながっているんです
コンゴの女性たちに「何が必要ですか?」と聞くと
「平和」と答えます
平和がないかぎり女性たちに対する暴力は続くのです
コンゴの女性に起きていることを「私たちに関係ない遠いこと」と考えるべきではありません
世界はつながっているのです
私たちは「人類を守る」という義務があるのです
遠くで起きていることに共感を持ち他者のために行動すること
それが人類を守ることにつながるのです"

最後に、原貫太さんの考えを共有しておきたい。
まずは世界の問題と自分の生活との“つながり”を考えた上で問題意識を持ち、関心を持ち続けることが大事である。関心を持ち続けることさえできれば、いつか自然と次の行動に繋がるはずだ。
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