『ツガチハ日記』。夏。ポルトガルの農場で男二人と女一人が何やら緊張感をはらんだ三角関係を築きつつ羽を伸ばしている。“22日目”から始まり“1日目”へと逆行していく(August←→Tsugua、8月←→ツガチハ)中で、ある時点から本作は映画作りの映画、というかまさにこの『ツガチハ日記』を撮影する過程の映画へと、ミゲル・ゴメス本人や撮影クルーが画面に登場することで移行していく。そこではまたパンデミックというストレスフルな現実に直面させられているわけだが、しかし太陽が照りつけ自然に囲まれた農場でのバブル方式のチーム自己隔離は、逆説的にすごく“夏”なのだった。ライトで青赤緑に彩られるナイトシーンや過剰にカラフルな星空は、それこそ“私たちの好きな八月”じゃないか。16mmフィルムの映像が美しい。
