じゅ

探偵マーロウのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

探偵マーロウ(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

マーロウさん、尾行の車間距離短すぎん?
まあそんなことはどーでもいい。


フィリップ・マーロウ、元検事局勤めの私立探偵。名か姓か、キャヴェンディッシュと名乗る依頼人が、愛人のニコ・ピーターソンを探してほしいと訪ねてくる。戦前、1939年のこと。
ピーターソンは既に埋葬されていた。金持ちが入り浸る会員制の高級クラブの外で酔って寝ていたところ、車に頭を潰されたらしい。しかし、依頼人は通りで彼を見たという。謎めいた事件に深入りするたび、怪しい人物がマーロウに介入してくる。クラブの支配人、娼館で働くニコの妹のリン、メキシコ人の刺客に、彼らを操る裏社会の大物のルー・ヘンドリクスと彼の運転手兼何でも屋のセドリック。皆なぜかこの死者を探し回っており、さらには依頼人の母親ドロシー・クインキャノンもその一人だった。
ニコはルーの下で働いていたが、彼の元から麻薬が詰め込まれた骨董を盗み出していた。ルーはそれを追っていた。クラブの支配人はその横取りを狙っていた。マーロウは支配人の隠し事を暴くため、わざと彼に捕まる。連行された先では、ルーの手下が殺されてルー自身も拷問を受けていた。マーロウはルーの運転手と協力して支配人を殺して外に出る。探し物の骨董品はすぐそこにあったが破壊されて中身は台無しになり、怒ったルーはそのまま運転手に蜂の巣にされた。
実はニコが盗んだ物には、より価値あるものがあった。キャヴェンディッシュの母親の銀幕スター時代から付き合いのある、財務関係のアドバイザーの男、英国大使になるオライリーの麻薬取引の全ての記録(そうだっけ?既に記憶あやふや)。裏社会の危険人物が消えて戻ってきたニコは、探偵に依頼して自分を捜していた愛人を呼び出す。キャヴェンディッシュの狙いは、まさにこのニコが盗み出した品だった。母と英国大使が築いたものを無傷で手にするため、ニコを撃ち、取引の記録を燃やした。マーロウは全て見ていたものの、彼女を見逃す。

後日、マーロウは映画の製作会社の重役の椅子に座るクレア・キャヴェンディッシュに呼び出される。セキュリティのチーフとして雇いたいとのこと。マーロウは断り、代わりにルーの元運転手を推薦した。彼に仕事を持ちかけながら、2人は帰路につく。


なんか探偵ががんばる物語って、トリックが入り組んでるタイプか人間関係が入り組んでるタイプか、どっちかあるいは両方の要素が組み込まれるのが王道なのかな。本作は後者か。人間覚えるの苦手だから結局前者の方が好きではあるけど、まあでも華々しい奴らを落ち着いて洗練された老探偵が相手する本作みたいなかんじだとやっぱ後者が似合うな。

というか、1939年とかそのくらいの時代が舞台になってるのが好き。当時の服とか車とか町並みとか、良い。あとニーソンの叔父貴によう似合う。
原作はベンジャミン・ブラックの『黒い瞳のブロンド』。ラストシーンでクレア・キャヴェンディッシュの撮影所に貼られたポスターの映画と同名だけど、2014年に初版が出た小説なんだそう。当時描かれた現在、みたいなことじゃなくて、わざわざこのくらいの時代を選んで書いたわけか。いいっすね。


なんか、作中で「人は皆◯◯だ」みたいな言い方をされていた◯◯がいろいろあった気がする。たしか他者の弱みを握りたいとか、どうのこうの。
クレア・キャヴェンディッシュがニコラス・ピーターソンを(今度こそ本当に)殺す時に言ってたのが、野心ってやつだった。いや、ニコには野心がないって言われてたから「人は皆◯◯」は関係ないっけ?まあいいや。何にせよ、野心ってやつが本作で大切な要素だったのかなと直感した。どう大切かはわからん。

ドロシーは「娘は私のものを何でも欲しがる」みたいなこと言ってて、クレアも「母は私のものを何でも欲しがる」みたいなこと言ってた。そういえば、マーロウか誰かがしてたこの事件の総括としては、結局母と娘の喧嘩みたいなもんだったと。では、その争いに勝ったクレアと負けたドロシーを分けたのは野心だった、みたいなことなのかな。
かつてハリウッドでその名を轟かせたドロシーが言うには、ハリウッドでは引き際が重要だと。時が来たらもらうもんもらってとっとと去るのが吉なのだと。言い換えれば、ドロシーはとっくに野心を捨てたとでも言えるのかも。故に若い野心家の娘に良いとこ持ってかれたかんじなのかな。


なんか、具体的にどういうことについてとか知らないけど、映画のこと詳しかったらカットごとの意味とか理解しながらもっと楽しく観れただろうか。
フィリップがクレアにニコは死んでたと言うため会いに行ったくだりで、クレアが話しながら柱の後ろを通る瞬間とか。フィリップが睡眠薬入りの酒を植木鉢のあたりに捨てるところの遅回しとか。なんか意味があったんじゃないかと直感してる。気のせいならそれはそれでよし。
じゅ

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