『INTERCEPTOR インターセプター』
原題 Interceptor.
製作年 2022年。上映時間 98分。
テロリストに占拠された絶海のミサイル迎撃基地を舞台に、核ミサイルの危機からアメリカを守るべく戦う女性大尉の活躍を描いたオーストラリア・アメリカ合作アクション。
エルザ・パタキーが主演。
パタキーのパートナーであるクリス・ヘムズワースが製作総指揮を務め、カメオ出演もしている。オーストラリアの作家マシュー・ライリーが初メガホンをとり、スチュアート・ビーティーと共同で脚本を手がけた。
ある事件をきっかけに国防総省の仕事から外されたJJ・コリンズ大尉は、太平洋上に浮かぶミサイル迎撃基地に配属される。
そんな矢先、アメリカ各地の複数の都市がテロ組織による核ミサイル攻撃の標的となり、コリンズ大尉の基地も内部に潜入していたテロリストたちに占拠されてしまう。
管制室に立て籠ったコリンズ大尉は、残されたわずかな時間の中で核攻撃を阻止するべく壮絶な戦いを繰り広げる。
今作品は、『ダイ・ハード』が生み出したサブジャンルから生まれたアクション映画のひとつで、チクタク時計のような戦略を用いて、緊張感とスピード感のある面白いアクション映画を作り上げています。
主人公には決まった目標と明確な使命があり、90分間、視聴者は彼らが敵を出し抜き、巧みに操り、戦う様を見守ることになる。
簡単なことのように思えるが、その勢いを持続させるのは難しいことです。
しかし、『ダイ・ハード』は例外的な作品やし、そのためには、魅力的な殺陣、卓越した撮影技術、緊張感を持続させるテンポの良さ、そして映画を牽引できる主役の存在など、すべてが完璧でなければならない。
今作品では、初監督となるマシュー・ライリーがかなりの難題に挑戦し、その結果、どこか面白くて、失礼ながらバカバカしくて、風変わりな作品に仕上がっています。
今作品のアクションはそれなりに楽しめましたし、振り付けの悪さを隠すためか、テンポの速い、息もつかせぬアクション映画であることを生かそうとする誤った試みのために、編集が激しく行われているのは否めない。
しかし、エルザ・パタキーはどこかアクションシーンを無視できないほどの激しいこだわりを持って演じていました。
彼女は自信に満ちていて大胆やし、最も重要なのは安定していて、 "アクションスター "ちゅうペルソナを過剰に主張することはなかったのは好感が持てました。
彼女は弱さがないわけではなく、彼女が投影する強いエネルギーと映画が必死に活かそうとするものを犠牲にすることなく、彼女のキャラのより個人的な側面を掘り下げることができてたと素人目には映りました。
パタキーの相手役であるルーク・ブレイシーは、アメリカを屈服させることに執念を燃やす優秀な戦術家であるアレキサンダーを熱演しているが、決して不条理な一線を越えることはなかった。
他の出演者については、必要最低限の役柄をこなしている感がしたかな。
しかし、悪役のアレキサンダーの動機を明らかにすることになると、今作品はグラグラと足場を失うことに。
少数の登場人物を通して、物語はアメリカの例外主義という考え方と、世界最大の軍隊を苦しめる極度の女性差別とが綱引きをしている。
アメリカを特徴づける多くの感情は、嘲笑的に、ほとんど風刺的に描かれ、ライリーと共同脚本のスチュアート・ビーティがアメリカに対して持っている優しくない見方を明らかにしている。
しかし、今作品は、アメリカ生まれでないことを理由に嘲笑され、降格され、セクハラを受け、差別されながらも、国のために死のうとするこの特別な軍人を、JJコリンズを中心に描くことで、進んでその落とし穴にはまっていってる様。
今作品は、コリンズが誇りを持って仕えると主張する国によって、自ら進んで危険な状況に置かれたという現実を直視するほど大胆ではない。
コリンズとインド系アメリカ人のラーフル・シャー（マイエン・メータ）が見せるヒロイズムは、単に人類のために英雄的であるだけでなく、(差別や偏見にもかかわらず)自分たちと違うという理由で嫌う国や軍隊のために立ち上がるからだと謳われている。
この奇妙で不屈のテキストは、高度な技術を持つ人々が活躍する娯楽アクション映画であるはずの作品を貶めるものやと云えなくない。
今作品を最後まで見た理由の核心は、パタキーがたった一人で世界を救うのを目撃すること。 イシナリオは非常にありえない事ばかりやけど、一人の女性と高度な訓練を受けたチームとの壮絶な戦いのための設定としては、まっとうなものかな。
今作品は、視聴者の注意を引き、ヒーローを応援し、少し笑って（特にひどいカメオ出演）、すぐに映画の存在を忘れてしまうようなアクション映画という点では、サクッと見れる映画のすべての条件を満たしていると云えるかな。
