まぬままおま

犬ころたちの唄のまぬままおまのレビュー・感想・評価

犬ころたちの唄(2021年製作の映画)
-
本作の舞台となる広島の横川は思い出の地だ。

「横川シネマ」にはじめていったときは、支配人が劇場の外でヤンキー座りをして煙草を吸ってて驚いた。もちろんそれは好印象で、かつてはポルノ映画館だった劇場の佇まいも、DIY精神溢れるホームページも、デザインががびがびな回数券も好きだった。エリック・ロメールの『モード家の一夜』もロベール・ブレッソンの『田舎司祭の日記』もここでみたのを覚えてる。

古本屋兼バーであって、兄の住処でもあり、父の弔い場所でもある「本と自由」にも横川シネマで映画をみるついでによくいった。大島渚の『愛のコリーダ』の単行本を買った。

そんな思い出を通して、本作をみた。ラストシーンの長回しは動線がかなり大変だったと思うし、兄弟の音楽が奏でられるのはすごいと思った。そしていつも通っていたあの店の奥や階段を上った先にはこんな景色が広がっていたんだと発見があった。

監督の「ミニシアターは少し先の未来を掴む場所」(意訳)というのもなんだか素敵で、インディーズ精神に敬意を。私もその精神でありたい。