「talk dirty to me(頭を使わないSEXは、単なる生殖行為に過ぎない)」
喜国雅彦さんの「傷だらけの天使たち」の中の一篇が約40年のときを経ても忘れられない。
身体の痛みに拘る気持ちは分からないが、心の痛みや欠落に拘る、親密な関係が、性的なことがらと結びつくのは、なんだか人間ならではのかたちに思えて、少し憧れのようなものを感じる。
年齢のせいもあってか、ただ身体が身体を求める、というような感じのことについては、人ごととして感じられ、少し面倒な気持ちになる。
凄くその方面の容姿才能に恵まれた人には、異性であれ、同性であれ、欲望や憧れとかより、嫉妬の方が先に立つ感じすらある。
そうした感覚で見ると、無様にのたうつ主人公や周囲の人には、なんとなく親近感が湧き、いい映画みたな、という感想に落ち着いた。
凄く偏った、個人的な感想でした。