かーく

ONE PIECE FILM REDのかーくのネタバレレビュー・内容・結末

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞前は正直「7曲も歌ってどうするんだ」と思っていました
けれど観たらなるほどこれは歌が大事なわけだと納得
歌うことが能力発動の条件であり歌うことでストーリーが進行する作りのため、ただのお披露目会にならず楽しめました

また毒々しいまでのウタのオンステージは観客までウタワールドに取り込むが如くの迫力がある
今作を評価するポイントのひとつとして“映画館で見るべき”作品というのがあります
私はMX4Dで見たのですがそれでも音の圧が凄かった
上映前までは「まあこの中なら『逆行』が好きかなー」くらいの感想だったのが映画館では正しく音そのものをぶつけられたような感覚に陥り息を飲みました
歌詞がウタの心境を表しているところもいい
様々な特色を持つアーティストが取り組んだ作品でここまでしっかりウタに寄り添った曲が出来上がったのは、尾田先生の的確な指示とそれに全力で応えてくれたアーティストの皆さんあっての物だと思います

原作ファンとしてはシャンクスの格好良さはもちろんですが、なによりヤソップとウソップのシンクロにテンションが上がりました
親からはまだまだ半人前扱いですが間違いなく勇敢なる海の戦士への道を歩んでいるんですよ彼は
最初はヤソップが先に、段々と指示シンクロし始めていく描写にいつか父を超える姿を見たようで嬉しくなりました

ウタというキャラもすごく好きになりました
声優を務めた名塚さんも歌担当のAdoさんも声の表現力がすごい
特にAdoさんは幼少期はちょっと幼く、最後は震える声で歌い上げていて見事
そこにゴードン津田さんの熱演が加わってエンドロールのあるシーンでは少し泣きそうに

キャラクターの心情を含めこれまでのFilmシリーズの中でも特に細部の描写にこだわった作品ではないでしょうか
冒頭の霧深く彩度を極限まで落としたような色使い、その中に薄ら見える島は苔むして寂れて見える
けれどウタの歌がそこに色を与え……という導入も最後まで見ればなるほどそういうことかと唸らされます

多分これはIMAXで見るべき映画ですね
リピートしたいと思います
かーく

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