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ONE PIECE FILM REDのArts0001のレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
3.8
映画館で観るべき作品

映画館で観ることで価値が出る作品だと素直に思いました。

本作の設定で世界的歌姫、ウタというキャラクターが出てきますが、歌唱部分を歌手のAdoがやっています。これが成功するかどうかがハッキリと明暗を分けるところだと思いますが、成功と言っていいでしょう。

今までAdoの歌はしっかり聴いたことありませんでしたが、歌唱力の高さに驚きました。本作は楽曲提供の数も多かったのですが、それぞれの楽曲で異なる表現がされており、Adoというアーティストの魅力が存分に発揮されていました。

映画の何をセールスポイントにするか?という点で狙いと効果がハッキリ見えている。それを大スクリーン、大音響で体感できるのは良い映画体験だと感じました。

というのが良いポイントでこれだけでも映画館に行く価値ありだと思います。

が。

お話の部分では疑問符がつく点がいくつかありました。
一番気になったのは登場人物多すぎ問題。

麦わらの一味の時点で人多すぎ。
今回のゲストキャラは2名、それに加えて過去登場の海賊たち、海軍の将校達、シャンクス一味、天竜人が出てきます。

前作スタンピードもそうだったように、映画はいわゆるお祭りで、原作で活躍した豪華キャラクターが沢山登場してファンを喜ばせる。まさにファンムービー的な作りを今回も踏襲しています。

ここは結構大事で。ファンが喜んでくれるならそれでも良いとは思います。
ただ、上映時間115分の中ではこのキャラクターの数は、見ている人の理解速度を超えてくる気がしています。

私は90巻まで読み直してから観に行ったので理解速度がかなり高かったので嬉しかったのですが、理解度の軽いファンには大変だったろうと思います。
それぞれのキャラに役割を持たせて活躍させることには成功していたので、いるだけ設定みたいな一番避けたい事態にはなっていなかったと思います。これはたぶん尾田栄一郎さんが一番やらないことだと思うので。

最後にネタバレになるので詳細は省きますが、シャンクスとウタがなぜこのような関係になってしまったのかをもう少し工夫した方が良かったと思っています。

ウタにはある能力があり、その能力がきっかけである事件がおこります。
この事件の原因は別にあるのですが。
ウタと原因をそのままにして去っていく。というシャンクスの行動が保護者責任とかじゃなく、危機管理能力的に赤髪海賊団大丈夫か?と思いたくなってくるぐらい納得できません。

とはいえ、シナリオ的に成功している部分もあります。
前述した音楽の成功例に観客側が魅了されていると実は、それ事態には仕掛けがあって華やかさとは裏腹な真実が見えてくる仕掛けになっています。
ここが実世界にもある虚像と現実を風刺しているようで、今回描きたかったテーマなのかと感じました。
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