いめーじ

ONE PIECE FILM REDのいめーじのネタバレレビュー・内容・結末

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ウタのキャラデザも性格も最高。
一目見て、この娘にするえ〜って思った。
某YouTuberかって感じのツートンに、新時代の象徴として相応しいファッション、でっかい胸と脚も良い!
「海賊やめなよ」には、生半可な野郎は一瞬で絆されてしまいそうな魔力がある。
「負け惜しみ〜」も特徴的。ったく、オマエにはかなわねぇな…。

曲は『新時代』と『私は最強』が特に好き。『Tot Musica』のシーンはシビれる。
ワンピの世界にシンセとかあるんだな〜とか、配信文化も生まれてるんだな〜とか、世界観やルフィの過去に後付けしまくってるんだけど、1本の映画として楽しめば割とどうでもいい。正直 俺も本編はそこまで追っていなくて、ただウタという女と会いたかっただけ。パラレルワールドらしいから余計に入り込みやすくてありがたい。

終盤の別れやテレビ版の過去編を観てみると、ウタは幼馴染みというよりルフィの姉と言える存在だった。エースの女版みたいな対比が多い。お祭り要素はあれど、ルフィとシャンクスにとってはひたすら酷な話だ。

内容に関しては海賊や海軍以外の視点に重きを置いた斬新さとか、絶妙なキャラの大集合自体はおもしろいのだが、アクションは終始つまらなくてビックリ。
ワンピの戦闘といえばタイマンだよな〜って気持ちもあるけど、そもそもカメラワークとかハデなばかりの演出がダルくてアニメーションとして好きじゃない。
ウタのCGダンスもなんかアレよね。

ヤソップがウソップをバカ息子って呼んでたのはクズだと思う。ノリだろうけどバカ呼びできるような親かよ。
申し訳ないんだがシャンクスの慈愛に満ちた表情と殴られてるシーンで爆笑しちゃった。
いやでもマジな話、シャンクスは凄まじい善人だけど、ウタの将来を尊重した雰囲気出しても私情を優先して子供から離れた親として見たら罪深いよ。

歌で世界は変えられるのかって政治的でもあるテーマは、こうしたアニメや映画を好む人間なら信じたくなっちゃうと思うんだけど、やっぱり万能とはいかないのが現実。
でも確実に誰かの救いにはなるのだとエンディングのイラストから感じられる。
ウタは死んでしまったが、彼女の歌は形が無いからこそ誰にでも寄り添えるモノとしていつまでも愛され続けるのだろう。永遠ではないにしろ、一時の逃げ場にはなってくれるはずだ。でもチャルロスだけはガチでハブられているんだろうな。
俺は死にヒロインが大好きなので興奮しちゃったし、俺の心はウタワールドと一緒に消えて永遠になっちゃったかもね😅

とはいえ、ウタワールドに肯定的だった人達が最終的に消えたかのように描いていたのはズルい気がする。俺はウタの世界も良いと思うケド…。
解放された人達が結局 海賊に襲われて酷い目に合うみたいな後日譚を入れたほうがいいんじゃないかと思ったんだが野暮だろうか。

ウタは民衆の願いの集合体みたいなもんで、幻想と現実の境目が無くなるような感じなんてメタバースっぽいしインターネットアイドルみたいでもある。
『Z』や『STAMPEDE』も一応は新時代を作ろうとする話ではあったけど、彼らのようなバケモンではないウタには荷が重すぎた。
背伸びのカットやオーバーサイズのパーカーなどからも、幼い頃から身の丈に合わない行動をしているようで切ない。
もちろん彼女は強くて賢いし、シャンクス達と旅をしていたんだから世界が広いことも知ってたはずだけど、シャンクスを信じられなくなったと同時に蓋をしてしまった記憶がありそうだし、ファンの想いを裏切るわけにもいかないし、何よりも世界の脅威である自分の存在意義を肯定することに必死だったんだろう。そりゃ視界が狭くなる。単純な承認欲求ではない。

ルフィは自由主義なのでウタが暴走気味になってもしばらくは説得しようとしていたのが良かった。
雑に説明が入ったキノコの副作用がどれだけ影響していたか知らんけど、段々と他人の自由を奪うやり方になっていくし、ウタ自身もあらゆる面で囚われて自由には見えなくなる。そうなったら拳で語るしかないわけだ(?)
魔王という分かりやすい怪物が出てきたおかげでボス戦みたいになったけど、あれ無しでウタが同等の力を発揮していたら、皆して殴りかかる構図になっちゃうのかなぁ。

カリファはただのセクシー要員だった。

ウタの存在だけで満点にしたい気持ちはあるけど、おもしろいかというとビミョーだったので…このスコア。