TOMMY

ONE PIECE FILM REDのTOMMYのレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
3.5
『新時代は この未来だ
世界中全部 変えてしまえば 変えてしまえば─────
歌声、赤髪。
その歌声がもたらすのは、
永遠の幸せか、無限の牢獄か。』

『ONE PIECE FILM RED』とは、2022年8月6日に公開された劇場アニメ。テレビアニメ『ONE PIECE』の劇場版第15作目。
『STRONG WORLD』以降より続く、原作者の尾田栄一郎氏が監修したストーリーの第5弾目にあたる。
そして『ONE PIECE』連載25周年記念作品でもある。
キャッチコピーは『赤髪が導く"終焉フィナーレ"。』ちなみにタイトルロゴの部分では、『RED』の「D」の字にシャンクスの左目のような3本線が入っている。

最初のティザービジュアルでは、顔を上げて歌うウタのラフ絵が公開。FILMシリーズどころか劇場版全編でも何気に初となる、新規女性キャラがメイン看板を張る作品となった。
また同時期に公開されたPVでは、最後にシャンクスが一瞬現れることからもわかる通り、海賊「赤髪のシャンクス」が関わることも示唆されていた。
つまりオールスター映画だった前作『STAMPEDE』ですら登場しなかった四皇勢力が、今作にてついに初出演する映画でもある。
製作陣からは"シャンクスの娘"を出したいという提案を先に出し、それを受けて尾田氏が「シャンクス本人も出そうよ(*1)」と切り出したのがこの物語の骨子となったという。
また、原作での初登場から10数年を経て麦わらの一味に正式加入したジンベエも、本作で映画初登場となった。
製作には、監督に『コードギアス』シリーズや『スクライド』で有名な谷口悟朗、脚本には『キングダム』の実写映画版や『GOLD』にも関わった黒岩勉、作画担当にはFILMシリーズからもはやお馴染み佐藤雅将などが参加。
実は谷口氏は今回がワンピ初ではなく、1998年にイベント上映された『倒せ!海賊ギャンザック』以来となる。
ほかゲスト陣として山田裕貴、霜降り明星、新津ちせ、そしてこちらもお馴染みとなった竹中直人なども出演している。

今作を語るにおいて何よりも特徴的なのはその劇中歌の多さ。
ウタの歌唱パートとして、「うっせぇわ」や「踊」、「レディメイド」などで一躍有名となったAdoを起用。
作詞・作曲・編曲にも、


1.新時代(中田ヤスタカ「Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、COLTEMONIKHAなどをプロデュース。『FILM Z』ではOP『ZEAL』なども手掛け、本作の劇伴も担当した」)
2.私は最強(Mrs. GREEN APPLE「代表曲:『点描の唄』、『インフェルノ』」)
3.逆光(Vaundy「代表曲:『走馬灯』、『裸の勇者』」)
4.ウタカタララバイ(FAKE TYPE「代表曲:『Yummy Yummy Yummy』、『文通』、トップハムハット狂では『Princess♂』(*2)など」)
5.Tot Musica(澤野弘之「進撃の巨人、キルラキル、機動戦士ガンダムUCなど数々の有名アニメの作曲に携わる」)
6.世界のつづき(折坂悠太「代表曲:『朝顔』、『炎』」)
7.風のゆくえ(秦基博「代表曲:『鱗』、『ひまわりの約束』」)

といった実績あるベテランから新進気鋭の若手まで、幅広い層の音楽のプロフェッショナル達が本作の映画には関わっている。誰が呼んだか音楽七武海。
なによりこの上記の歌を、映画内でちゃんと全部披露する。
ここまで劇中歌が多いアニメーション映画も中々無いだろう。少なくともONE PIECE内では最多であるのは間違いない。

決してAdo=Odaというシャレをやりたいからというわけではない。
実際、楽曲7曲に加え『世界を魅了する歌姫』というたった9文字の単語の実現は、かなりの無理難題ではないかと作者も思ったそうだが、蓋を上げてみればどの曲も間違いなく『ウタの曲』とわかるクオリティに仕上がっている。

中でも主題歌「新時代」は、ウタ本人も強い思い入れのある曲ということもあって一番最初に公開されており、本編ではわざわざフルバージョンを流しているという力の入れっぷり。

一方で上記の歌の数だけ見ると、「ONE PIECEの皮を被ったミュージカル映画なのではないか?」と訝しむ人も多いと思われるが、本編自体は実は『Z』と同じかそれ以上にダークな作風で、大海賊時代の闇を体現したかのようなシリアスな展開が続く。公開前の事前宣伝と実際の本編の印象が大きく違う意味では『オマツリ男爵と秘密の島』を思い出したファンも少なくなかったとか。

見返す時のために情報を記しておく。

飛行機の機内で鑑賞。インド人も鑑賞していたことからワンピースの世界的人気がどれほどのものなのか、少し理解した。
上記にもあるとおり、見るまではウタのMVのような映画なのかと思っていたが、ストーリーの展開も、登場するキャラも好きなものばかりでとても楽しめた。

ラストバトルの迫力や作画はまさに劇場版。見る価値大いにあり!
TOMMY

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