結局カレー

アキラとあきらの結局カレーのレビュー・感想・評価

アキラとあきら(2022年製作の映画)
3.3
光属性のまま大人になれた半沢直樹。あるいは逆恨みを知らない半沢直樹。半沢直樹がじゃがりこサラダ味ならば、アキラとあきらはじゃがりこチーズ味。とまぁこんな微妙な例えを出しといてアレだけどとにかく定番の池井戸潤作品。潰れた町工場の息子と大企業の御曹司である2人のアキラの共闘、親族同士の経営争いといった”味変”は見事にハマった。我々は半沢直樹以来日曜劇場等で銀行と町工場の事情を色々と知りすぎてしまったので最早鮮度はないけど結局おもろしろい。お金の力を使った悪事は散々作品で見てきたけど、お金の力を最大限活用した正義はこんなに力強く心強いものかと知った10年。

顧客のために自分のバンカー人生をも差し出し、やる気のない左遷先に行っても飲み込まれず堅実に顧客と向き合い続けた結果、再浮上は難しいと言われた本店に舞い戻る。清すぎる。置かれた場所で咲きまくっとる。こんなやつおらへんやろ〜な輝きだけどいいのよ、夢と希望が詰まってた。

物語は企業の骨肉争い、家族なんだから仲良くとよく言うけど家族だから生む争いもあるわけで。ユースケさんの目。一族の再建を図るべく、自分のキャリアを捨てて本気で会社の立て直しに取り組むあきら。共感と同情で金を貸すなと言い放ったあきらに共感と友情で力を貸すアキラ。アチィ。2人の友情とブレない江口洋介に沸く銀行ムービーでした。