れい

渇水のれいのレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
3.8
「水って重いね」
子役の柚穂さんが発するこの台詞一言に本作のテーマが集約されてるように感じた。

全然前情報無しのノーマークでしたが結構私は好きです。(本当は是枝監督の「怪物」を見ようとしてたけど時間の都合上、本作を見ることに )

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⽇照り続きの夏、市の⽔道局に勤める岩切俊作(⽣⽥⽃真)は、来る⽇も来る⽇も⽔道料⾦が滞納する家庭を訪ね、⽔道を停めて回っていた。県内全域で給⽔制限が発令される中、岩切は⼆⼈きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した⽗、帰らなくなった⺟親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“⽔”を停めるのか、、、(公式からあらすじ拝借)
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冒頭5分にある
水の入っていない市民プールに入り、姉妹でアーティスティックスイミング(シンクロ)のマネごとをするシーンでこの姉妹のこれまで、そしてこれからの関係性(ふたりで1つ。ふたりで生きていく。)を示唆しているのが演出としてわかりやすかったですね。
水が入っていないプールというのも彼女たちの現状が満たされていないっていう事を表しているのとか。
わかりやすいんだけど、丁寧だなと感じて惹き込まれましたね。

淡々と停水業務をこなす生田斗真くんの渇いた演技がすごく良かった。
彼のキャラも満たされない心の渇きを抱えているのが節々から感じられて、単に物理的な水不足だけでなく寧ろ心の潤いを求めるテーマの作品なんだなと。


けっこう終盤までは変に気になるところとかなかったんだけど、テロの所は評価分かれるよな〜という印象。あそこはもうちょいうまい事できなかったのかなとか思ってしまった。(原作も読んでないし何様って感じですが、、)



「太陽も空気もタダだけど、水はタダじゃない」
あんまり意識してこなかったけど、改めて言われると、たしかに!とハッとさせられた。

この作品をジュース飲みながら、空調の効いたスクリーンで見てるのってなんか皮肉じみてるなとエンドロール後に思いました。
この夏は節水を心がけます(笑)
れい

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