Kaz66

渇水のKaz66のレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
3.4
1990年、文學界新人賞を受賞し、その年の芥川賞候補作にもなった、河林満の名著が刊行から30年を経て初映画化。高橋監督がずっとあたためてて、脚本も及川さんと一緒に10年前には完成していたそうです。その脚本が「凪待ち」「ひとよ」の白石和彌さんに渡り、企画プロデュースをかって出て30年分の想いがようやく陽の目を見たそうな…。残念ながら、作者の河林さんは2008年に他界されている。
筋は、簡単に言ってしまうと、
日照りの続くある年の夏(スマホを子供が普通に使ってるので、ここ10年ぐらいの話だろう)、前橋市水道局員の岩切(生田斗真)が、料金未納の家を訪ね“停水”を執行してまわるという…、『貧困』がテーマの市井の人々の厳しい日常の話。
前半/中盤は様々な“渇いた日常”が淡々と描写される。だが終盤は(原作は未読なのだが…原作とは全く別の)“絶望の底に一筋の希望の光が…”のような(映画の為に作られた)演出がなされていて、急に現実が架空のモノになったような、オーバープロデュースな感じがした。
3日前に「アフター・サン」を観たとこだったので、もう少し観客に想いを委ねるようなリアル路線で締めて欲しかったです。(原作ファンは評価が分かれてるようです)
まぁ、「アフター・サン」の方が明らかに異常な作りなんですけどね…ww
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