結末がやや安直で強引
同じような仕事の経験のある身からすると、滞納者から投げつけられる言葉の数々や、そうした言葉を横目に淡々と与えられた仕事をこなす前半の主人公に共感を覚えずにはいられなかった。
河林満氏が30年前に発表した原作はわずか60ページほどの非常に短い作品だ。映画は主人公と幼い姉妹の物語を大きく膨らましている。
生田斗真演じる主人公がいかにも気怠そうな演技が素晴らしい。「規則だから」と黙々と停水を執行する。そうしないと心が破裂するから。
小説はとにもかくにもザラザラに渇いた後味の作品だが、映画は原作とは大きく異なる結末を用意されている。
終盤の展開は「こうあってほしい」という製作側の思いだと好意的に受け止めても、やや強引で安直に情に訴えかけ過ぎてはないかと感じた。
むしろ、この作品を「いま」描くとしたら、行政サービスと福祉の間をすり抜ける人たちをもう少し真正面から捉える側面があってもよかったのではないかと思う。