結局カレー

渇水の結局カレーのレビュー・感想・評価

渇水(2023年製作の映画)
2.5
日照り続きの中給水制限が発令され、水道料金が払えない家庭の水道を止めて回る仕事。悪質なものもあるけど言わばライフラインを断ち切って回るような仕事のようでなかなか酷だなと思う。滞納金を地面に落として払う兄ちゃんムカつくとか超えて滑稽だったけどこういう人間も相手にしないといけないと思うと頭が下がる。公務員の一番のストレスって客を選べないことだと思うわ。

太陽も空気もタダなのに、なぜ水はお金がかかるのか。そう本編では訴えられるけど、そのまま飲めるほど綺麗な水を絶えず受益できることの恩恵を考えれば必要な対価だと思う。みんなその必要性を理解してるから規則に従うわけで、こうした姉妹2人みたいなイレギュラーに柔軟に対応できないことも致し方なく思えてしまいもどかしい。岩切と木田の会話にあったように、温情で動こうたって際限がないのよな。岩切の最後の行動は2人の姉妹のためだけじゃない、自分のためだったんだと思う。

テーマ自体は社会派で面白いと思ったけど、結局岩切のフラストレーションが爆発しただけで渇いた世界を救うのは自然の恵みしかないんだなってやるせ無い終わりだった。岩切と家族の関係も都合よくまとまった印象。何より2人の姉妹が水のないプールで泳いだり父親の帰宅を願って庭で傘さして雨乞いしたり、水道局員の嫌われようだったり、ちょっと狙いすぎな演出がノイズだったな。重々しい空気なのにどこか薄っぺらかったのが残念。