Gaku

ミックステープ 伝えられずにいたことのGakuのレビュー・感想・評価

3.3
 アメリカ、ワシントン州のある町、1999年、ちょうどラジオで「2000年問題」が騒がれていた頃、両親を自動車事故で失い、40代(!?)の母方の祖母と同居し、高校に通う女子高生ビバリーはある日、母親たちの荷物から「愛の暴動 Love Riot」とラベルのあるテープを発見する。70〜80年代の8つのロックからの曲名が並べられているが、祖母からそうしたサブカルチャーから遠ざけられ育てられていたビバリーにはどんな曲なのか分からない。急いで「ウォークマン」で聴こうとするも、巻き込みから再生不能に。彼女はその「ミックステープ」が母親からのメッセージだと信じ、それそれの曲を探しに、非日常的な探索活動をし始める。
 町の古いレコード屋の主人アンタイから、近隣の台湾系のクラスメートのエレン、ハードロック好きのクレイジー女子高生ニッキー、それぞれがビバリーの熱意にほだされて、彼女の探索に協力していくが、それはだんだんとビバリーにとって、自分とは誰かというある種のビルドゥングロマンに変わってゆき…。
 ミックステープの二曲目がブルーハーツのあの名曲「リンダ・リンダ」。ビバリーはすぐ日本語だと聞き分けるのだが、その歌詞の意味を知るために台湾系のクラスメートに近づくという、なんか勘が良いのか悪いのか(苦笑)。できればエレンのお父さんあたりに歌詞を日本語に訳すシーンが欲しかったと思ったり。まあ、これは日本人視聴者の欲目なのですが。
 思春期の女子たちの友情と連帯、そして80年代音楽の良きエッセンスの詰まった佳作でした。観て、彼女たちの高校生生活が微笑ましく思えたり。また、思春期の女子を抱えるお母さんたちにもオススメ。
 ところで、ビバリーの家、なんであんなに缶詰めばかりのジャンクフード生活なんだろ。
 
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