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メタモルフォーゼの縁側のbluebeanのレビュー・感想・評価

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
3.5
自分の好きなものに対する主人公の感情にすごく共感できました。誰かと思いを共有したいけど、自分の趣味を否定されそうで周囲に話すことができません。リア充が何の抵抗もなくそれをしていることにずるいと感じてしまうシーンのリアルさといったら。そして、好きなものを自分で創作したいと思うが、才能のなさを自覚して一歩を踏み出せない。ほんと、分かりますその気持ち。

本作ではその状況が同じ趣味を持つ1人の友人のおかげで変わっていくのですが、そんな人が見つかったら苦労しないと思いつつも、たった1人でも見つかれば世界が変わるというんだという勇気ももらえた気がしました。趣味が一緒なら、年齢などのバックグラウンドの違いは関係ないというメッセージも良いです。

何事にも心配性で慎重になってしまう人間にとって、雪さんのように外堀を埋めて追い込んでくれるような存在がどれだけ貴重かというのもよくわかります。自分だけで乗り越えないといけないということはなくて、他人を必要として良いんだと。本当に好きなものを誰かと共有することがすごく難しいからこそ、2人の関係に感動せずにはいられませんでした。

芦田愛菜含め、役者陣も良かったです。演技が多少大げさですが、その分かりやすい表現で感情を表現する一方で台詞は最小限にしているので、わざとらしいと感じることなく表現がすっと心に入ってきました。個人的には芦田愛菜の服装が気になりました。ボーイッシュな格好にしてキャラ付けされてるんですが、絶妙にオシャレ感があって、全然根暗な感じに見えなかったのが面白かったです。
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