ぶみ

ハケンアニメ!のぶみのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.0
好きを、つらぬけ。

辻村深月が上梓した同名小説を、吉野耕平監督、吉岡里帆主演により映像化したドラマ。
アニメ界の覇権を取ろうと奮闘する新人監督等の姿を描く。
原作は未読。
公務員から転職した新人監督、斎藤を吉岡、彼女が憧れる監督、王子を中村倫也、それぞれ監督を支えるスタッフとして、柄本佑、尾野真千子、高野麻里佳、前野朋哉、古舘寛治、徳井優、矢柴俊博が演じているほか、工藤阿須加、六角精児、小野花梨等、個性派メンバーが集結。
普段アニメを全く見ない私としては、話についていけるかどうか心配だったものの、物語が斎藤対王子という至ってシンプルな、わかりやすい構図で進行していくため、その不安は杞憂に終わることに。
逆に全く知らない業界の内幕が描かれていたことから、終始興味深く観ることができた次第。
特にゼロから全てを創り上げていくという監督の苦悩を、吉岡、中村それぞれが見事に演じており、その監督の頭の中を具現しようとするスタッフの奮闘ぶりにも舌を巻くばかり。
劇中で放映される二作のアニメの良し悪しはわからなかったものの、それに懸ける情熱に圧倒され、そんなことは些末に思えたのは、この前に観た『シン・ウルトラマン』において、私の無知のせいか完全に置いてきぼりとなったのと対極的。
また、途中にある二人の監督の対談シーンは、その場に居合わせたかのような臨場感を醸し出しており、ハラハラしっぱなし。
ポップなイメージビジュアルから、コメディ色強めの作品かと思いきや、なんのなんの、至って真面目に、そして丁寧に創られており、仕事に対する気構えを再認識させられ、知らない世界を教えてくれるお仕事ムービーとして高い質を誇っているとともに、主人公等の成長譚としても楽しめる良作。

代打なんかじゃありません、最初から四番です。
ぶみ

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