業界の裏側を見せつつそこで働く人の苦悩と成功を描く業界ものエンタメです。個人的に大好きなアニメ業界で、クオリティの高い劇中アニメや、作家性と商売の葛藤もあり。面白くならないはずがなく、さらに予想以上の感動でした。
先行するアニメ業界ものと言えば『SHIROBAKO』と『なつぞら』です。実写業界をアニメで描いた『映画大好きポンポさん』も近いです。先にこれらを観てなければ、すごく新しい映画だ！と思えたはずです。逆に言うと、本作にあまり新しい要素はないです。主人公をあえて制作進行にしたSHIROBAKOや、アニメ黎明期の史実を引用したなつぞら、徹底的に劇中劇とテーマを結びつけたポンポさんなどに比べると、捻りは抑えられていて、ストレートに感動できる作品になってるのが特徴だと感じました。
裏番組の２つのアニメの制作現場が並行して描かれますが、成長して徐々に現場のみんなを味方につけていく主人公斎藤と、圧倒的な天才の王子の対比が良いです。働くなら斎藤の下、観るなら王子の作品かなーなどと妄想して楽しみました。
また、斎藤はアニメによって現実世界で悩む人を救おうとし、一方王子は虚構による感動もリアルの一部だと言います。どちらも共感できる！
業界もの共通ですが、本作も自分の仕事のモチベーションを上げる薬として最高でした。
