たわらさん

ハケンアニメ!のたわらさんのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
3.8
視聴率至上主義を掲げつつ、秀才vs新人の構造は
まんま『バクマン。』である。故に問題点は共通して、過酷な労働環境でのスポ根精神乗り切る危険性は考慮されていない。ハラスメントが横行する環境下での自己犠牲で乗り越えようとするのは賛同し得ないし、洗脳めいたものを感じる。

アニメ業界を舞台にしたスポ根というフィクションで割り切るのが適切であり、それを加速させるかのように辻村深月原作のキャラはアニメ的である。因縁の相手と対面する対談イベントはやはり熱く、後半部分も2人の衝突をもっと観たかった。また、吉岡里帆&柄本佑と中村倫也&小野真千子の美形揃いでミスコンで始まるのかと錯覚するし、『Fate』シリーズの一蓮托生な関係を彷彿とさせて、やはり本作はアニメ的である。

アニメシリーズの長尺と比較するのは酷だが、アニメ業界のお仕事ムービーだと『SHIROBAKO』であり、アニメーターの内省とプロデューサーの存在が『映像研に手を出すな』を想起させて、それぞれの作品の30%くらい成分があるカルピス作品でもある。根底を否定しまうのだが変化を数値で見せようとするため、具体的なようで斎藤瞳監督の目的が成就されたのかは抽象化されておりカタルシスに乏しい。作中のアニメがめちゃくちゃつまらなそうなんですよね。

サブスクの有無による世界マーケット、リア充やオタク等のワードの古さが2014年の原作であるため引っ掛かるが、折角なら現代にアップデートしてほしかった。今だったら漫画原作のアニメが話題になる中で宮崎駿や庵野秀明に憧れたアニメーターが向かい風のアニオリを作ろうとする物語とかになりそうですよね。それ新海誠なんですけど。
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