ひでG

ハケンアニメ!のひでGのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.3
「日本映画はダメだ👎」て言う人に、
私は反論したい。

「全然ダメじゃない!昨年だって、世界のどこに出しても高評価を受けるであろう良質作品がいっぱいある!」て、、
反論したい。

作品のクリエイト側は、才能と情熱に溢れている。むしろ、問題は配給と観客なんだ!と思っている。

昨年僕が観た豊作の邦画たちの中でも
「ある男」と「ケイコ目を澄ませて」は
ダントツ・ツートップだったけど、
もし、本作を劇場で観ていたら、そこに食い込むなあ〜ひょっとして感動度では、ツートップを抜くかもしれない。

それほど、この映画が大好きです!
久しぶりに、登場人物たちが全部好き!
愛おしい!って映画に出会えました!

ごめんなさい。気になっていたのに、劇場で出会えなくて、レンタルもこんなに遅くなって、、、

公開され、映画の評判を聞いてから、辻村深月さんの原作も読みました。
もう、原作を読んでいる時点で、何回も何回も落涙しました。

アニメ制作の知っているようで、知らなかった世界を実に丁寧に、しかも、そこに携わる人物たち、ひとりずつに魂と体温を感じさせる原作本の素晴らしさ。

さあ、こんだけ完璧な本をどうやって映画にするんだろう。

そして、出来上がった本作。原作大好きな人たちも納得の映像化だと思います。

原作も映画もこの作品は、クリエイトの仕事が実にたくさんの方々の才能や情熱が
幾重にも重なって作り上げ、積み上げられていることをきちんと描いているところが
とても素晴らしいと思います。

完成した作品を多くの作り手(クリエイター)たちが見つめるあのショットで、涙が止まりませんでした。
ああやって、ひとりひとりが持ち場の中で最大限の仕事をして、その仕事の総結集が作品となって世に出させる。
あの人のあの人の努力がなければ、かたちにならなかったもの。
それが最高級に姿を変えて、観る側にはなたれていく瞬間。
実に神々しい場面でした。

それは、この映画のクリエイト自体にも言えることだと思います。

映画の山場である人物が、
「僕らは大手です。大手だからこそ、人々の記憶に残り、語り継がれる作品を世に出す義務もあるのです。」と語ります。

大手の映画制作の中で、いろんな制約の中でも、日本映画の明日の為に願いを込めて日々、仕事をしている人もたくさんいます。

そんな全てのクリエイターの賛歌になっている作品だと思います。

原作は3部に分かれ、アニメ制作に携わる女性を克明に描いています。
僕は、3部、映画では小野花梨さんが演じた天才アニメイター並澤さんのエピソードも大好きなんですが、、
尺の問題もあり、第2部の斎藤監督を中心とした脚色も良かったと思います。

斎藤瞳監督を演じた吉岡里帆さん、良かったなあ〜

それから、プロデューサー役の柄本佑さん
いやあ〜、文章で描く3次元の人物を
4次元の生きた人物にするって、こーゆー事なんだ〰️って、改めて知らしめた、見事な演技でした!

本作は、良いものを作ることと商売になるってことを分けて描いていないところ。
良いですね〜!
いくら良質でも、商売として採算がら取れなければ次がない。そんな現実からも外れていない、そこも情熱一本に陥らず、深みを出しているところだと思います。

それから、それから、劇中のアニメも手を抜かずに、「サウンドバック」も「リデルライト」も普通に「観たい!」と思わせるところも手を抜かずに、凄いところだと思います。

苦しい現状の中、日本映画は、「誰かに刺され!」と、情熱と才能と連帯で、たくさんの良質な作品を世に出してくれています。
一部の陽の当たる大作だけでなく、より多くの良質作品を私たち観客が支えていきましょう!
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