Ryohei

ハケンアニメ!のRyoheiのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.0
これは真剣に観ないといけないタイプの映画。

金曜ロードショーとかで、ながら見する感じだと良さが伝わらないタイプの映画。

核となる瞳の幼少期の話しや、隣の子供の変化、声優や、周りのスタッフの気持ちの変化が少し時間をあけて飛び飛びで描かれているから、途中から見ても楽しめる作品ではない。

一部だけ見ても出来過ぎた話に見えてしまうと思うので、映画館での評価が高く、配信→TV放送と重ねられるにつれて評価が下がっていきそう(2024.3月現在⭐︎3.9)

しっかりと流れを追ってみると、ラストで瞳が制作陣を背負って歩くカットでとても胸が熱くなれる。

新人監督が受け入れられてない演出は、笑ってしまうくらい分かりやすく表現されているので、逆に子供でも楽しめると思う。
特に対談シーンはこんなトークショー絶対ないやろーっていうくらい新人監督を観客や世間が最初から全く受け入れていない。

ただ劇中アニメが本気すぎるクオリティなので、アニメが始まってからの世間の評価や、周囲のスタッフを巻き込んでいける流れにはリアリティーと説得力があって、現場で働く人ほど共感できる映画だと思った。

リアリティーがあるからこそ、街の引きが映るだけでなぜか感動するし、ラストの瞳の表情で清々しい気持ちになれる。

比較されがちなバクマンは集英社がバックについているので、ジャンプという名前や実際の漫画を使えるし、嫌でもリアリティーが出るが、今作はそういう後ろ盾が一切ない。
全てなんかどっかで聞いたことあるような架空の媒体やワード。それなのにリアリティーを感じる。

その為には、キャラデザも声優陣も全部手を抜かずに本気で1から生み出すしかない。
そのメイキング自体がドキュメンタリーのようで、一つ一つのこだわりにとてつもないアニメ愛を感じる。
ディズニー+の「ワンダーハッチ」もこれ見習って。

朴璐美のナレーションだけでもグッと心掴まれるし、メインの声優役の高野麻里佳もすごくいい味出してて良かった。

この作品含め、なんか最近エンタメに溢れた日本に生まれて良かったーって色んなところで感じる。

国はもっともっと芸術を評価した方がいい。

クールジャパンとか大枠で盛り上げるのでは無く、もっと優秀なクリエイター個人個人を評価してほしい。
Ryohei

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