さりさり

なん・なんだのさりさりのネタバレレビュー・内容・結末

なん・なんだ(2021年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

妻が突然の事故に遭い、意識不明に。
駆けつけた夫が知ったのは、妻の浮気。
それは30年にもわたる妻の裏切り行為だった!

苦悩する夫。
不倫相手を、娘と共に探す旅。
そしてその男との対決。
ヨボヨボじいさん同士の掴み合いは、切なすぎて泣けた。
(半分笑えた)

妻が他の男へ走ってしまったのには、そこに至るまでの様々な事情があったのだろう。
しかし、この妻には全く共感出来なかった。
何しろ30年だ。
30年の裏切り行為だ。
そこまで続けるなら、いっそのこと夫とは別れろよ、と思う。
30年もの間、夫とは何事もなかったかのように接し、普通にご飯を食べ、娘を育て、平穏に暮らして来たのだ。
後ろめたさも、少しの心苦しさも感じずに。
信じられない。
夫に対して失礼極まりない。
余程図太い神経なのか。
まさしくこれは「なん・なんだ!」の物語。

一時的な気の迷いは誰にでもある。
精神的に疲れていたり、心が折れてしまった時、他に癒やしを求めてしまう気持ちもわかる。
にしても30年だ。
何度も言うけど30年だ。
そこまでやるなら墓場まで持って行って欲しかった。
最後の最後にバレてしまうなんて。
やはり人間、悪いことは出来ないんだな。

てか、30年もの間、全く気づかなかった夫も夫だ。
妻に興味はなかったのか?
恐らくこの30年間、妻をいたわる事や、優しい言葉がけもなかったのだろう。
今さら慌てふためいても遅いのだ。

夫婦って一体なんなんだろう。
ずっと悶々としながら観ていたら、終盤に出て来た台詞にハッとさせられた。

「嫌いだったものが食べられるようになること。結婚とはそういうものだ」

なるほど。
それは言える。
夫婦とは、結婚とは、つまりはそういうことなんだ。
多少嫌な事や理解できない事があっても、自然と相手に染まって行く。
自分をちょっと殺して、相手に合わせてみたりする。
そこから新しい発見があったり、少しずつ相手を理解していけたりもする。

だけどそれは、あくまでも一対一が原則だ。
この映画の妻は、美味しいとこだけあっちからもこっちからもつまみ食いしてた。
ずるい。
おまけにバレたらバレたで開き直る。
あー、最後までこの妻のことは好きになれなかったな。
好きじゃない、この映画。
でもこの映画観たあと、無性に誰かと語り合いたくなる。
そんな不思議な映画だった。
全く…「なん・なんだ!!!」


P.S 私も、食べられなかった塩ホルモンが、結婚してから食べられるようになりました。
さりさり

さりさり