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ドント・ストップの一人旅のレビュー・感想・評価

ドント・ストップ(2020年製作の映画)
5.0
アレッサンドロ・トンダ監督作。

多くの移民が流入し“テロの温床”と呼ばれるベルギーの首都ブリュッセルを舞台にしたサスペンススリラーの隠れた秀作です。

ブリュッセルの学校でイスラム過激派による無差別テロ事件が発生、現場に駆けつけた救急隊員のヒロインとその同僚は、校内で怪我を負い倒れていた少年を救急車に収容し病院に向かうが、少年の衣服を脱がせたところ腹部に爆弾が仕掛けられていることに気付いて―というテロを題材としたサスペンススリラーで、テロの実行犯である少年と二人の救急隊員の駆け引きと攻防をスリル満点に活写します。

救急車という密室空間を主舞台としたノンストップサスペンススリラーであり、少年が握るボタン一つで大爆発が起きるという緊迫した状況下における救急隊員の攻防をスリリングに描いています。少年に命じられるがままブリュッセル市街を走らせる救急車内で繰り広げられる救急隊員vs実行犯少年のぎりぎりの攻防劇に片時も目が離せませんし、少年のゆくえを追う警察当局の動向や、息子がテロ犯人であることに動揺を隠せない両親の悲痛の様相も作劇に組み込んでいます。

2016年に発生した30名以上の犠牲者を出した連続テロ事件でも記憶に新しい、“過激派の温床”ブリュッセルを舞台にしたシチュエーションスリラーで、本作は「未体験ゾーンの映画たち2022」に選出されています。
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