かじドゥンドゥン

ふたりの女、ひとつの宿命のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)
3.0
1935年のハンガリー。裕福な家の令嬢シルヴィアは、軍高官である夫の子が産めない体であるため、カフェで知り合い懇意になった貧しい美女イレーンに、大金と引き替えに夫と同衾して子を産んで欲しいと依頼する。イレーンは、二人の友情を損なう論外の取引きだと一蹴し、夫も妻シルヴィアの頬を張って激昂するが、彼女の執拗な哀願の末、夫がイレーンと面会してみると、状況は一変。二人は愛し合い、やがてイレーンが身籠る。夫もシルヴィアの家族も、跡取りの誕生を心待ちにし、イレーンが堂々と夫婦の家に出入りするようになって、徐々に自分の居場所がなくなってゆくシルヴィアは、精神に不調をきたす。

1944年。出産し、契約通り子どもを残して去ったイレーンが、数年ぶりに夫婦の元に戻ってきた。いまやハンガリーもナチズムに染まり、ユダヤ人であるイレーンの身も危うい。そこで夫は、家宅捜査に際して、妻の身分証明書をイレーンに渡して夫婦を装い、場をやり過ごそうと提案、抵抗するシルヴィアの書類をもぎとって、イレーンにもたせる。ところが、妻シルヴィアがさすがに耐えかねて密告したのか、捜査官にすり替えがばれており、夫は除隊、イレーンは黄色い星形のワッペンを胸に付けて強制収容所へ送られる。