Asino

内なる檻のAsinoのレビュー・感想・評価

内なる檻(2021年製作の映画)
4.0
2022年6月19日

イタリア映画祭オンライン終了間際駆け込みで「内なる檻」鑑賞。
閉鎖が決まったのに囚人12人だけ残さなくてはならなくなった刑務所での、宙ぶらりんの数日を描く。
円形監房の作りも静かに緊張が高まる台詞のやり取りも、舞台劇のようでとても独特。すごく地味…だけどとてもよかった。

いつ終わるともわからない特殊な環境に置かれて、一番ストレスがつのるのが食事の問題、ってところがなんだかとても人間らしい(笑)
囚人と看守、塀の中と外の境界が曖昧になる、「空気が止まった」(原題直訳)時間を描いた作品だった。
停電の間だけの食事の時間が、一種宗教的なものにも見えたり。

今年のダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞ではこの作品でシルヴィオ・オルランドが主演男優賞を受賞。
囚人役だけど、一癖も二癖もある他の囚人たちの尊敬を集め、看守と渡り合うラジョイア役。納得。
あとファンタッチーニが良かったな…ちょっと「幸福なラザロ」を連想したキャラクターだった。
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