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フェルナンド・ボテロ 豊満な人生のYYamadaのレビュー・感想・評価

3.6
【ドキュメンタリーのススメ】
フェルナンド・ボテロ 豊満な人生
(2018)

◆ドキュメンタリーの種類
 ボテロ本人や家族へのインタビューを
 中心とした「参加型」
◆描かれるトピックス
なぜ全てをふくよかにするのか?
  90歳の巨匠の素顔と「ボテリズム」の
 秘密に迫る

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・独創的で多幸感あふれる作風で世界中から愛されるコロンビア出身の画家フェルナンド・ボテロの魅力に迫るドキュメンタリー。
・ヨーロッパ、ニューヨーク、中国、コロンビアで長年にわたって撮影されてきた映像と、ボテロ本人や家族、歴史家、キュレーターの証言を通し、その素顔と魅力的な作品の数々を紹介。無名画家だった彼が、いかにして芸術界の頂点へと上り詰めたのかをひも解いていく…。

〈見処〉
①世界から愛される芸術家。波乱万丈の
人生に迫る傑作ドキュメンタリー——
・『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』(原題: BOTERO)は、2018年にカナダにて製作されたドキュメンタリー。
・「全てがふくよか」…人や動物、果物など、あらゆる造形を素朴でユーモアあふれる作風で描く「南米のピカソ」、フェルナンド・ボテロ。
・本作は、2022年で生誕90年を迎え、世界で最も有名な存命の芸術家の素顔と、独創的で多幸感あふれる作品の数々に迫る作品。
・2022年4月に26年ぶりとなる大規模展覧会『ボテロ展 ふくよかな魔法』がBunkamuraザ・ミュージアムなど全国3ヶ所を巡回するタイミングに合わせ、本作は劇場公開される。

②フェルナンド・ボテロ
・1932年4月に南米コロンビアに生まれた画家、彫刻家のボテロ。闘牛学校に通いながら、スケッチ画を描いていた貧しい少年は、新聞のイラストレーターとして働き始め、修行のためヨーロッパ、メキシコ、NYへと移る。
・やがて、対象物をぽってり誇張する「ボテリズム」に目覚め、1950年代後半からヨーロッパで次第に注目を集めるようになると、1963年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に展示された《12歳のモナ・リザ》で一躍注目を浴び、アート界の頂点へ。
・一方でコロンビア出身という出自で差別され、彼の「具象画」に対する批判、愛息の死、自身の利き手の一部を失う悲劇などを乗り越え、現在もモナコにあるアトリエに立っている。

③結び…本作の見処は?
◎:「ふくらむ、幸せ」…90歳で今なおアトリエに立つボテロによる多幸感に溢れる本作は、まさにキャッチコピーそのもの。芸術は、イタリアやパリなど、穏やかで幸せな環境で育まれる。
◎:「観てから見る」…。本作鑑賞後に、2002年のGWよりスタートする展覧会に足を延ばすことで、フェルナンド・ボテロの絵画、彫刻への造詣を得て、実りある芸術鑑賞が出来そうだ。マツコ・デラックスのような肉厚な人物像を肉眼で見てみたい願望に駆られる作品。
▲: 波乱万丈ながらも、卑屈さを示さないボテロの半生。反ドラマチックに語る本作は、映画愛好家よりも、絵画愛好家に親和性の高そうだ。

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久しぶりに「上映会」方式の試写会に参加してきました。コロンビア大使館協賛のステキなイベントに知的好奇心が満たされました。Filmarks、ありがとうございました!!
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