TONG

フェルナンド・ボテロ 豊満な人生のTONGのレビュー・感想・評価

4.4
絵画を描く人のドキュメンタリーで面白いのあまり出会ったことない。絵が好きだから観てみよ〜と思って観たドキュメンタリーも最後まで行きついた試しがない。寝るか途中でやめるか。

が、しかし、ボテロさんはご存命で本人がバンバン出てることもあって地に足ついてて説得力もあるし、何より人柄や育ちがキテレツじゃないのに、描いてるものがいい塩梅に奇妙で、穏やかで、ファニーで、カラフルで、映画を観れば観るほど作品を好きになっていく。不思議。

さらにアーティストでござい!とお高くとまっていなくて、パン屋のおじいさんみたいな面持ちなのもとても良い。
さらに、生きるために描くのではなく、描くために生きてるみたいなことを淡々と軽やかに体現していてとても良い。暑苦しくない。あ、いや、暑苦しい芸術家もまたオツなんであるが、その暑苦しくなさが良いな〜と思わせる人だった。

そして、芸術家のドキュメンタリーだからといって、必要以上に悲壮感や人生の苦悩みたいなものにフォーカスを当てたりしていないのも良かった。何もない人なんかいない。それぞれに特別な何かを抱えて生きている前提で、たまたまボテロが画家だったというストーリーなのが良かった。

なんてことないタイミングで突然映し出される、ボテロの作った豊満なドデカい彫刻が、フランスの空をヘリコプターに釣られて飛んでる画が、とんでもなくシュールで思わず笑ってしまった。

良いことも悪いことも全部ひっくるめて、絵を描くための題材を探しながら、旅のように毎日を生きているの良い人生だなぁ〜と思ったし、淡々と信念を貫く強さはかっこいいと思った。
TONG

TONG